「適切なケアマネジメント手法」の手引き!ポイントだけまとめてみました
令和3年6月22日に公表された「ケアマネジメント手法の手引」
見てみると54ページの大作!
はじめの方の説明も長く読むのも大変であったので、自分の勉強のために、さくっとまとめてみました
54ページ見ることが負担な人はこの1ページを見てみてください
何のための手引なのか?
目的
ケアマネジメントが目指すのは、本人の尊厳を尊重し、住み慣れた地域でできるだけ暮らし続けられるよう、生活全般を支える体制を整え、自立支援を実現することです
そのためには、介護はもちろん医療や福祉、さまざまな生活支援サービス領域の知見やネットワークが必要ですし、相談援助や意思決定支援に関する知識や技術も必要です
一方、各分野・領域の知見が深まっていますから、介護支援専門員が一人で全ての領域の知見を身につけるのは現実的ではありません。さまざまな領域の専門職等と円滑に連携できるようにする基本的な知識が必要です
「適切なケアマネジメント手法」はまさにその基本的な知識として作られたものであり、他の職種と連携する際の“共通言語” として活用することを期待されている
特に、
①介護支援専門員の日々のケアマネジメント実践(アセスメントやケアプラン原案の作成の段階での活用)
②OJTでの活用(初任段階の介護支援専門員がどの項目の、どのような点でつまずいているかを明らかにし、それを初任者と指導担当者の双方で共有することで、指導担当者は目線合わせや支援内容に対する具体的な助言を行いやすくなります)の活用が期待されています
どのように「適切なケアマネジメント手法」を取り入れるか?
概要
① 「基本ケア」と「疾患別ケア」はセットで用いる
まずは「基本ケア」をきっちり押さえたうえで、「疾患別ケア」を適宜組み合わせるようにしましょう
② 生活の場面で取り組むべきことに意識を向ける
医療的ケアが必要になる想定で情報収集を行い、判断・ケアに関わる職種と連携し、つないでいく役割を担います。医療の範囲は医療につなぎ、介護支援専門員としては、生活の場面でのケアや本人・家族へのサポートに意識を向けて取り組むようにしましょう
③ 本人の生活を総合的に捉え、個別化する
どのケアが、どの程度必要かの判断は一人ひとりの状況で異なります。また、同じような支援内容であっても、その人に合わせたやり方に工夫する余地があります。これこそが「個別化」です
基本的ケアとはなにか?3つの視点
【1)尊厳を重視した意思決定の支援】
①現在の全体像の把握と生活上の将来予測、備え
→生活の全体像をみつつ、疾病を含む今後のリスク予測、緊急時はどうするかを確認します
②意思決定過程の支援
→本人の意思を尊重し、意思決定を支援します
【2)これまでの生活の尊重と継続の支援】
①予測に基づく心身機能の維持・向上、フレイルや重度化の予防の支援
→水分や栄養をとること、受診・服薬・自己管理・感染予防などの医療的な視点や心身機能の維持について確認します
②日常的な生活の継続の支援について
生活リズム、食事・排泄・入浴の支援、暮らしやすい環境調整をします
③家事・コミュニティでの役割の維持あるいは獲得の支援
→喜び・たのしみ・強みを引き出し高める支援
④家庭やコミュニティでの役割の調整や、コミュニケーションの支援
→「入院する前の生活」を確認して、出来る限りその生活に近づけるような支援
【3)家族などへの支援
①家族などへの支援
→家族のケアや、家族の理解者を増やす支援をする
②ケアに参画する人に対する支援
→本人をとりまく支援体制の整備やケアをします
5つの疾患別ケア
上記までの「基本ケア」に、下記の「疾患ケア」を組み合わせます
脳血管疾患のある方のケア
《1期:病状が安定し、自宅での生活を送ることが出来るようにする時期》
①再発予防
→血圧・疾患管理・服薬管理はできているか、生活習慣の改善ができるか
②生活機能の維持
→心身機能の回復・維持、活動参加に係る能力の維持・改善
→転倒などのリスク管理を支援します
《2期:病状が安定して、個別性を踏まえた生活の充足に向けた設計をする時期》
①継続的な再発予防
→血圧・疾患管理・服薬管理はできているか、生活習慣の改善ができるか(1期と同じ)
②セルフマネジメントへの移行
→心身機能の回復・維持、活動参加に係る能力の維持・改善
→転倒などのリスク管理を支援します(1期と同じ…)
大腿骨頸部骨折のある方のケア
《1期:病状が安定し、自宅での生活を送ることが出来るようにする時期》
①再骨折の予防
→転倒予防・骨粗鬆症の予防(カルシウムやビタミンDの摂取・日光にあたる等)を支援する
②生活機能の維持・向上
→歩行・生活機能・社会参加を促します
《2期:病状が安定して、個別性を踏まえた生活の充足に向けた設計と、セルフマネジメントへの理解の促進を図る》
①再骨折予防
→転倒予防・骨粗鬆症の予防(カルシウムやビタミンDの摂取・日光にあたる等)を支援する(1期と一緒)
②セルフマネジメントへの移行
→介護給付サービスの終結に向けた理解を促し、自助・互助への移行を促す
心疾患のある方のケア
《1期:退院後の期間が短く、医療との関わりが強い状況にある時期》
①再入院の予防
→疾患理解・服薬管理、自身の能力の向上と転倒・脱臼などのリスク管理。住宅環境の整備を支援します
②生活機能の維持
→不安のケア、心疾患の状況に応じた生活(食事水分制限・体重管理・安静の具合・緊急入院の目安の把握)を支援
《2期:状態が安定から不安定な状況にある時期》←再入院を繰り返す事が多いため
①再入院の予防
→疾患理解・服薬管理、自身の能力の向上と転倒・脱臼などのリスク管理。住宅環境の整備を支援します(1期と同じ)
②生活機能の維持
→不安へのケア、ステージの応じた生活の支援
③EOL(エンドオブライフ)に向けた準備
→どのような最期を希望するのか、実現可能であるのかを確認します
《心不全のステージ分類》
- ステージA:心不全の徴候も心臓の病気もないが、将来発症するリスクがある
- ステージB:心臓の病気はあるが、心不全の症状はまだ出ていないというレベル
- 心不全が発症してからのステージC、Dのうち、Cは内服治療などでコントロールできるもの、Dは難治性の心不全であり、補助心臓装置や心臓移植といった特殊な治療の導入を検討する段階
現在がどのような状態なのか把握すると、今後の予測につながります
ステージ分類と、血液検査の項目でBNP (ビーエヌピー)の数値を確認することで、どの程度心機能が悪いのか、心機能の推移をみることができます
認知症のある方のケア
初期~中期のアルツハイマーを想定
①これまでの経緯の確認
②本人・家族・支援者の理解
→本人・家族・支援者がどのように認識しているか、取り巻く環境はどうか?
③将来の準備として意思決定の支援
→本人の意思決定能力を尊重した支援、ACP・成年後見などを含めた意思決定能力低下時の対応について支援をします
→尊厳を保持し、その人らしさや残存機能を生かした生活を整えます
④必要に応じた連絡体制の構築
⑤基本的な生活の支援
→日常の意思決定を支え、生活リズムを整える。健康管理、セルフケアについても支援する
⑥これまでの生活の尊重と重度化の防止
→本人の役割の維持・拡充に向けて持っている機能を発揮しやすい環境の整備をする
⑦行動・心理症状の予防・重度化防止
→BPSD(行動・心理症状)が起こる背景・原因を把握する
⑧家族などへの対応
→将来にわたり生活を継続できるように支援する、家族の過負荷にならないようにサービスを調整する
誤嚥性肺炎のある方のケア:死亡リスクが高いため予防に着目
①リスクの評価
→予防の必要性の理解が出来ているか、飲み込みやムセの状態はどうか?どのような形状の食事を食べているかなどを確認します
②日常的な発症及び再発の予防
摂食・嚥下機能の訓練、食事の姿勢やスピードの工夫、食事形態やとろみの活用など
③リスクの再評価
④変化を把握したときの対応体制の構築
ムセ込みが多くなったら、食事の姿勢の工夫、食事形態やとろみ剤の活用などの対応をします
発熱などの症状が出た場合はどこの病院に受診するのか確認する
「適切なケアマネジメント手法」の活用方法
①自己点検
上記の「基本的ケア」「疾患別ケア」の項目について…
【ケアプラン作成時点】
✓ ケアプラン作成時のアセスメントで情報収集したか?
✓ ケアプラン作成時に支援が必要だと判断したか?
✓ ケアプランに支援を位置づけたか?
✓ ケアプランに支援を位置づけた場合、具体的にどんな内容にしたか?
【ケアプラン作成後や見直しの時点】
✓ 現時点で支援は必要か?
✓ 支援内容の見直しは必要か?
✓ 支援内容の見直しが必要な場合、具体的にどん内容を追加・縮小すべきか?
どの項目を見落としていて、プランへの落とし込みが足りなかったのか振り返る手がかりになります
②研修
参加者が自己点検し、参加者同士で共有しながら“気づき”を深めていくことが出来る
③カンファレンス
事例提出者は事前に自己点検し、相談したい内容の資料を用意する
参加者全体が「適切なケアマネジメント手法」の手引きを念頭に置きつつ支援内容を検討する
まとめ
内容としては、目新しい感じはありませんでしたが、実際に自己チェックを行うと、情報の拾い忘れや、プランへの落とし込みが出来ていないこともあると思います
自分自身が何を見落としやすいのか把握するためのツールとして活用してみてもいいかもしれません
研修のネタにもなるので活用していこうと思います