
こんにちは!おハムです
ケアマネジャー不要論が語られるときに話題に上がるAIケアプラン
現状はどのように進んでいるのでしょうか?
AIケアプランがなぜ話題になっているの?
「骨太の方針2018」 (2018年6月 閣議決定)
基礎的財政収支の黒字化は2025年度を目指す。
社会保障費用の抑制の目安は、高齢化による増加分に相当する伸びに収める (数値目標は示さず)。
「全世代型社会保障の構築」に向け、少子高齢化対策や社会保障に対する安定財源を確保するとともに、現役世代の不安等に対応し、個人消費の拡大を通じて経済活性化につなげるためには、 2019年10月に予定されている 消費税率の引き上げを実現する必要がある。
「人づくり革命」: 介護離職ゼロに向けた介護人材確保のため、介護職員のさらなる処遇改善を進める。
「生産性革命」「新たな外国人材の受け入れ」「第4次産業革命」「ケアマネジメントの質の向上と利用者負担の導入」「介護施設・事業所の大規模化」 「介護保険の利用者負担増」
《見える化、技術革新を活用した業務イノベーション、先進・優良事例の横展開等 》
科学的介護を推進し、栄養改善を含め自立支援・重度化防止等に向けた介護の普及等を推進する。 特に、 自立支援・重度化防止等に 資する AIも活用した科学的なケアプランの実用化に向けた取組を 推進するとともに、ケアマネジャーの質の向上の観点から、その業務の在り方を検討する。
このように国としてAIケアプランの作成や、エビデンスに基づく標準化を進める方向性です
→これにより、ケアマネジメントの質の確保を図ることが目的であるといえます
『骨太方針2020』 (2020年7月)の介護制度改革の論点
感染症、災害、救急等の対応に万全を期すためにも、医療・介護分野におけるデータ利活用やオンライン化を加速し、PHR の拡充も含めたデータヘルス改革を推進する。
感染症の下、介護・障害福祉分野の人手不足に対応するととも に対面以外の手段をできる限り活用する観点から、生産性向上に重点的に取り組む。
ケアプランへのAI活用を推進するとともに、介護ロボット等の導入について、効果検証によるエビデンスを踏まえ、次期介護報酬改定で人員配置の見直しも含め後押しすることを検討する。
介護予防サービス等におけるリモート活用、文書の簡素化・標準化・ICT化の取組を加速させる。
医療・介護分野のデータのデジタル化と国際標準化を着実に推進する。
『財政健全化に向けた建議』 抜粋(財政制度等審議会・2021年5月21日)
ア)利用者負担の見直し
2024年度に開始する第9期介護保険事業計画期間からの実施に向けて、サービス の利用者負担を原則2割とすることや2割負担の対象範囲の拡大を図ることを検討する必要がある。
イ) 介護人材確保の取組とICT化等による生産性向上
・サービスの質を確保しつつ、より少ない労働力でサービスが提供できるよう、配置基準 の緩和等も行いながら、 業務のICT化等による業務効率化を進めていく必要がある。
・社会福祉連携推進法人制度の積極的な活用を促すなど、 経営主体の統合・再編等に よる介護事業所・施設の運営効率化を促す施策もあわせて講じていく必要がある。
ウ) ケアマネジメントの在り方の見直し
2024年度に開始する第9期介護保険事業計画期間から、ケアマネジメントに利用 者負担を導入すべきである。 また、 福祉用具の貸与のみを行うケースについては 報酬の引下げを行うなどサービスの内容に応じた報酬体系とすることも、あわせ 31 て2024年度) 報酬改定において実現すべきである。
ICTを活用することで業務を効率化させ、さらに【人員基準の緩和】がされることが予想されます
介護サービスの標準化とは?
「標準化」とは
高野說 専門的技術における「判断」や「手法」が「根拠」に基づいて体系化されており、属人的ではなく、信頼性・妥当性に足るものであること。再現性が期待できるとともに、同じ判断と同じ 手法によって同様のアウトカムも期待できるもの。
「Evidence-Based Medicine」:根拠に基づいた医療
「Evidence-Based Long-Term Care」 :根拠に基づく介護
AIは根拠に基づいた判断が得意分野です
AIケアプランの課題
新経済・財政再生計画 改革工程表 2021 (2021年12月23日 内閣府) より ③
No.46 ケアマネジメントの質の向上
i. Alも活用した科学的なケアプランの実用化
●2022年度
a. 2019年度の調査研究事業においては、ケアマネジメントの質の向上や業務効率化に対して一定程度の効果があるとの結論を得た一方で、AIに学習させるべき教師データが不十分である等の課題も明らかになったことを踏まえ、2020年度以降、居宅介護支援事業所のケアマネジメントのデータ分析などを通して、AIの思考過程を明らかにすることや、教師データのさらなる収集・学習等の実証検証などについて、引き続き調査研究を進める。
b. 取組の進捗状況を踏まえ、より適切な実施に向けてKPI(数値目標)の設定等を検討する。
●2023年度
a. 2021年度介護報酬改定の検証等を通じて、より効果的なケアマネジャーの業務の在り方に関して、科学的介護の取組も踏まえ2024年度介護報酬改定等に向けて必要な対応を検討。
より的確なプランを作成するための、教師データが不足しているようです
ケアマネジャーは人工知能とどう向き合うのか?
人工知能 (Artificial Intelligence)とは
・推論:蓄積した知識をもとに、 新しい結論を得ること
・学習:取得した情報から将来使えそうな 知識を見つけること
AIケアプラン開発会社の考える「優秀なケアプラン」「状態が改善されるプラン」を学習し、提案してくれるようになることが予想されます
ケアマネジャーはその提案されたプランに対して、「どのように調整していくか」という業務になっていくことになります
ケアマネジメントにおけるAI技術の活用に向けて 出典:「AIを活用したケア作成支援の実用化に向けた調査研究事業報告書」 野村総合研究所 2020
(1) ケアプラン作成AIの仕様・機能面
●提供機能の拡大・強化 (シミュレーションツール、 関係者とのコミュニケー ション支援・個別事情の把握など)
●介護現場における既存システムとの連携範囲の拡大など使い勝手面の対応 ●地域資源の収集・分析など地域性への対応など
(2) ケアプラン作成AIの普及・促進に向けた取り組み
●介護データのオープンソース課などAIの学習データの整備
●AIの位置づけやケアマネジャーとの役割分担に関する周知・啓発活動(セミナー・研修等の実施)
●ケアマネジャー、ヘルパーなど介護従事者のITリテラシー向上に向けたトレーニング など
上記のような取り組みを進めながら、 介護現場での実際の使い勝手や業務効率化・ 質向上の検証を、 現場での日常業務での活用を通じて行っていくことがわが国におけるケアプラン作成支援AIの普及に向けて重要ではないかと考えられる。
【ICFのイメージ】
AIの得意分野:「健康状態」「心身機能・身体構造」「活動」
AIの苦手分野:「参加」「環境因子」「個人因子」
AIの得意分野はAIに任せて、AIの苦手な「参加」「環境因子」「個人因子」のアセスメントや、利用者さんや御家族の「意欲を引き出す」ような支援は、ケアマネジャーが担う
そのような役割分担が必要になってきます
AIケアプランソフト会社
2019年時点の報告書を参考に紹介します
①株式会社シーディーアイ 「CDI Platform MAIA」
CDIは、 国内初のAIを用いたケアプラン作成支援ソフトの提供を開始。 レーダーチャートによる容態予測によりケアプラン作成を支援する。
関連する直近の取り組み
2017/7 豊橋市とAIソフトの実証プロジェクト開始
2018/5 全国15法人でAIソフトを試験導入 2018/10 「CDI Platform MAIA」サービス提供開始
開発フェーズ、事業化の時期
2018年10月 CDI Platform MAIAのサービス提供を開始
(利用料金: ケアマネジャー1名あたり月額10,000円)
主な機能
・アセスメント項目入力に基づいたアセスメント判断支援
・改善したい状態に対する統計的なサービス種類の提案
・容態を改善するサービスの組合せの複数提案 選択したサービスプランに基づくADL・IADL・認知症状等の予後予測
・複数プランの予後予測の比較
②株式会社ウェルモ「Care Plan Assistant」
ウェルモは、 自然言語処理技術と機械学習を用いたケアプラン作成支援ソフトを開発中 アセスメント、 ケアプラン作成から地域資源の提案まで一気貫通のサービスを提供予定。
関連する直近の取り組み
2018/9 福岡市とケアプラン作成支援AIの実証実験を開始 2018/12 東電PG等と電力使用データを活用したケアプラン作成支援の実証試験を開始
2019/1 経済産業省ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテス トにて本サービスが優秀賞、特別賞 3賞受賞
2019/3 横浜市と企業三社とケアテック協定締結 2018、2019年度 厚生労働省老人保健健康増進等事業への協力
開発フェーズ、事業化の時期
2020年夏、 サービス提供開始。 2021年秋、 電力使用データと連携予定。
主な機能
ケアプラン (第二表) 作成支援
アセスメントに応じたケアプランに関する文章の提案 適する介護サービスの内容や種別、事業所の提案 アセスメントに応じた医療知識の提示
自立支援・重度化防止に資するケアマネジメント支援機能(開発中)
③日本電気株式会社
NECは、ホワイトボックス型AIによるケアプラン作成支援ソフトを開発中。 アウトプットの “なぜ” (根拠)を提示し、 ケアマネジャーが理解・学習できるサービスを提供予定。
関連する直近の取り組み
2017年度:老人保健健康増進等事業 「ホワイトボックス型人工知能AIを活用した自立支援に資するケアプラン提案の試行的な取組に関する調査研究」
2017/11 ニチイ学館とAIを活用した高齢者の介護・自立支援サービス開発に向けた共同研究を開始
2018年度 2019年度 老人保健健康増進等事業「ケアプラン作成支援でのAI学習が難しいテキスト 記述データの構造化等に関する調査研究」
開発フェーズ、事業化の時期 :サービス提供の開始時期は未定
主な機能
・ケアプラン作成支援
(課題・ニーズ、長期・短期目標、サービス内容、サービス種別のアウトプット)
・予後予測シミュレーション
まとめ
AIは「生産性向上」のためのツール
AIは「標準化」のためのひとつのシステム
AIは「心身機能の改善・悪化防止、その予測」の 有力なツール
ケアマネジャーは「相談支援」「目標設定」 「エンパワメント」「経済状況」「居住環境」「人間関係」 「社会参加」 などに関連することは、対人援助職としてのケアマネジャーの役割が重要
これを認識しておくと、「AIが入るからケアマネはいらなくなる」という話題もなくなるのではないでしょうか?
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