
こんにちは!おハムです
介護保険認定を受け、介護サービスを利用しても、1年後に5人に1人の割合で重度化するといわれています
私の作っているプランは目標は「重度化予防」「自立支援」を意識して作成していますが、組み込むサービスは本当に「重度化予防」「自立支援」につながっているのか…考えてみました
自立支援とは
「自立支援」は介護保険法の目的になっています
【介護保険法】
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する 疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、 機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、 これらの者が尊厳を保持し、
「その有する能力に応じ自立した日常生活を営むこと」
ができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、 国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、
その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。
episode①:一般的なプラン???
Aさん 1人暮らし
手芸が好きで、先生を自宅に招いて、友人とともに習っていた
自宅で転倒し、骨折・入院。要介護状態になった
ケアマネジャー
1人で自宅にいるのは危ないので、デイサービスに週2回利用しましょう
自宅にいる日は、ヘルパーさんに来てもらって、買い物や調理サービスをお願いしましょう
…でも、これって本当にAさんらしい暮らしでしょうか?
「住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続ける」ということは
⇩
人生や生活で「したいこと」を「なじみの」環境で続けること
では、Aさんが「したいこと」を「なじみの」環境で続けるにはどのようにしたらいいのでしょうか?
自立支援型のケアプランを作成方法
では、具体的にどのように作成すればいいのでしょうか?
自立支援型のケアマネジメントを作成するためには…
本人の思い(人生で大切にしていること)をしっかり汲み取ることが大切
・生活の中の「はりあい」
・生活の中の「たのしみ」
・大切にしている付き合い
「自立(手段的自立)」とは、高齢者が自分の望む生活を送るために、 自分の力を知り、 発揮し、たとえ、心身が衰え、 社会とのつながりが希薄となり、支援を受けるようになったとしても、自分にできる限りの努力をし、希望と意欲を持って自分らしく生活していくこと。
「自律(人格的自立)」とは、日常生活の中で必要な動作の多くに他者の支援を必要としてはいるが、自分自身の意思で、自分のこれからの生活や人生をどうしていくのかを決定し、自分が満足することができる生活を営むこと
手段的自立を進める代表的な方法が「リハビリテーション」です。
人格的自立を進めていく方法は、ケアマネジメントの展開過程そのものであるといえます
「自立支援」とは、高齢者本人を取り巻く環境から、個人を知り、 本人を中心に、家族、 近隣住民等の支援者で共有し、本人の尊厳を尊重するとともに、能力と意欲を最大限引き出し、やりたいことができるよう環境を整えること。
「自立支援型ケアマネジメント」とは、「自立支援」 の考え方を踏まえ、 介護支援専 門員等をはじめとする多職種が連携・協働し、高齢者本人の目標が達成できるケアマネジメントに取り組むこと。
御希望通りの、サービス提供ありきになってしまわないように注意が必要です!
ケアマネ
本人の意向に沿った支援計画ではなかったように感じます
活動や参加に結び付ける支援内容ではありませんでした
「本人の想いを引き出すアセスメント」をしてみます
アセスメント
相談を受けた時点からアセスメントするのではなく、今の状態になった経緯からアセスメントを行います
ケアマネ
Aさんの場合
・なぜ転倒したのか?
・歩行状態はどうなのか?
・筋力が低下して足が上がりにくくなっているのか?
それとも、バランス感覚が低下しているのか?
・以前からつまづいて転倒していたのか?
(場所・環境・時間・服薬・病気などとの関連は?)
・低栄養はないか?
・本人は転倒したことをどう受け止めているか?
→これにより改善の可能性を探ります
活動参加
本人の行動変容や社会参加につながるような支援を行います
生活の中の「はりあい」や「楽しみ」、大切にしている付き合いなど、本人の想いをしっかり汲み取る
ケアマネ
Aさんのしたいことは「手芸や家事を続けること」、その中で「友人との関係」が途切れないようにすることかな
Aさんが主体的に生活できるようにしたいな
支援計画
自立支援に資するケアマネジメントを意識して、本人が以前していたことができるように支援計画を立てます
ケアマネ
Aさんの場合
①友人との助け合い
②心身機能改善を目指す
③民間サービスの利用
④ご近所との繋がりを生かした関わり
「サービスを使わないこと=自立支援」ではなく、暮らしの質を上げるためにサービスを使って、「こんな風にありたい」と思う姿に近づけることが自立支援に繋がります
episode①:自立支援型ケアプラン
ケアマネ
アセスメントをした結果、私はこのように考えました
(目標)手芸の先生を招いて自宅で友人とともに習いことができる
・友人との助け合い:謝礼の支払いやお菓子の準備を担当する
・友人と一緒に買い物に行けるように、介護予防トレーニングを行う
→近所の人と一緒に買い物に行く(地域の支え合い)
・大きなもの、重い日用品は宅配サービスを利用する
「手芸や家事」をつづけること
「友人との関係」を途切れないようにすること
それにより、Aさんが主体的に生活ができる
それが「自立支援」であるといえます
さらに、Aさん自身が、課題に気が付いて、自身で解決できるように関わることができるとなお良いです!「こんなふうにありたい」と思うから困りごとができ、「それを解決するためにはどうすればいいのか」をAさんの口から聞ける支援を目指していきましょう
ケアマネ
支援した関わるからには、今の状態より低下しないようという意識でいきます!
ICFを活用した予防マネジメント
ICF(国際生活機能分類)
・活動を実行性を表す「している活動」
・可能性を表す「できる活動」
⇩
・手段的自立:自分の「出来る活動」を増やす
⇩
・手段的自立:自分の「している活動」を増やす
⇩
・手段的自立:「将来のしている活動」を増やす
⇩ (人格的自立の達成過程に、手段的自立がある)
・人格的自立:満足できる暮らしを営む
「どのように暮らしたいか」を明らかにすることが「人格的自立」につながります
「将来のしている活動」から逆算して今やるべきことが、明確になります
…ただそれだけでは、自立支援型のケアプランには繋がりにくいです
ICTの視点で、自立支援型かプランを作成する視点は…
×:「出来なくなっていること」をただ補う
阻害因子を探り、改善の可能性の有無を見極める必要性がある
〇:「したいこと」「今できること」を続けられるように支援する
促進因子を活かして、出来ることの継続としたい活動の実現に向けて、本人の意欲に働きかける
「出来なくなっている」といわれたことを、そのままサービスで補っていませんか???
専門職だからこそ出来る支援ができているのでしょうか?
本人のしたいこと、出来ていることに目を向け、「出来なくなっている原因は何だろう?」と探り、その解決に向けて対応策を考えます
「したいと思っていること・今できていること(促進因子)」を活かして、したいことの実現に向けて本人の意欲に働きかけます
「ICFの生活モデル」の、どの部分が「活動」と「参加」に繋げることができるのかに着目します
目標設定の場面でのICF:episode2
今までのマネジメントは、「心身機能・身体構造」の向上を目指すだけの目標を立てることが多かったのではないでしょうか?
例えば、ありがちな「10mしか自立歩行ができなかった人が、20m自立歩行できるようになる」ことを目標にした場合、その方の生活にどう役立つのでしょうか???
本人の「したい」「できるようになりたい」生活行為、つまり「生活機能モデル」における「参加」と「活動」に着目したケアマネジメントが大切!
心身機能・身体構造に着目したケアマネジメントの例
今は10m歩けるので、20m歩けるようにしましょう!
歩行訓練はしているけど、これで旅行は行けるようになるのかな?
旅行先でトイレは行けるのかな?
「参加」と「活動」に着目したケアマネジメントの例
《参加》:「したいこと」「できるようになりたいこと」はなにか?
ケアマネ
「したいこと」「できるようになりたいこと」はありますか?
旅行にいきたいよ
⇩
《活動》:参加に必要な活動はなにか?
移動には車や公共交通機関を利用するよ
旅先でのトイレが心配だね
⇩
《心身機能・身体構造》:「参加」「活動」に必要な「心身構造・身体構造」はなにか?
20mくらいは何も持たずに歩けるようにしたい
和式の便所でも排泄できるようにしたい
しっかりとしたアセスメントで、「生活モデル」における、「活動」と「参加」に着目できれば、あとはニーズに対して、どう解決していけばよいか考えていきましょう
ニーズや課題について
episode3
1人で入浴はできません
ケアマネジャー
「ではデイサービスで入浴しましょう」といいがちですが…
なぜ入浴出来ないかを考えることが大切!
【健康状態や生活機能】(本人に関すること)
脳梗塞を2回繰り返しており、右半身に麻痺がある
【背景因子】(家族や地域、住環境等)
独居、支援者なし、自宅の浴室には段差が多いなど
「入浴ができない」原因を明確にします
そして、最も原因になっているものを探っていきます
因子分解する
因子分解とは
活動はいくつかの動作の組み合わせで成り立っています
この組み合わせを、ばらしたのが因子分解です
「生活機能」
以前に滑って転んだことがあり恐怖感が強い、浴槽から立ち上がれない
「背景因子」
浴槽が深くて狭い、手伝ってくれる人がいない
⇩
入浴をアセスメントする因子
《生活機能》
身体機能(段差昇降、滑りやすい床での移動、洗髪や洗身の際に手が届くか、関節の可動域、筋力、視力はどうか)
精神認知機能(湯の温度管理・湯につかる時間、清潔管理、自己能力の把握、危険の察知、高次脳機能障害に伴う構成障害や失行)
《背景因子》
物的環境(入り口の段差、床の素材。、手すりの設置は可能か、浴槽の深さ、室内の温度)
人的環境(介助者の有無、可能であるか、介護者の姿勢は非協力的か過保護か)など
分解された因子ごとの評価は不十分なことが多いです
この因子分解をしっかりと行い課題を見出すことで…
サービスを入れることが目的のケアプラン
目標:「清潔の保持に努める」
サービス内容:デイサービスで週に2回お風呂に入る
問題点:お世話なしには入浴できない
=お世話型ケアマネジメント
・根本的な解決になっていない
・介護サービスが生活の不活化を助長→重度化の恐れ
⇩
課題を解決(改善)することを目的にするケアプラン
目標:「6か月後:自分で入浴することができる」
サービス内容:デイサービスで下肢筋力の強化と入浴動作の訓練を行う、浴室の住宅改修や入浴補助具の購入の検討、低栄養はないか、食生活の確認を行う、歯・口腔嚥下状態の確認、服薬状況の確認
自立支援型ケアプランにグレードアップ!
根本的な原因にアプローチし、残存機能の維持・向上・悪化の防止ができる
要介護度の改善・自立した生活に近づけることができる
地域によっては、自立支援型のケアプランになっているのか、地域ケア会議で相談に乗ってくれる自治体もあるようです
卒業を目指して一時的な利用で計画しても、卒業した先がない場合が多く。介護サービスが居場所になってしまい、漫然と利用しがちです
地域の卒業先ができるように働きかけることができるといいのですが…
まとめ
いかがでしたでしょうか?
私は目標自体は自立支援を意識していたのですが、サービス内容は「お世話型ケアプラン」になりがちであることに気が付きました。本当に介護度が改善されるプランになっているのかどうかを意識して作成してみましょう
ただ、いくらケアマネジャーが提案したとしたも、「お風呂はデイサービスで入るから、そのままにしといて」なんて頼まれるケースが多いのが現実
それをどのように提案していくことがいいのかが課題です
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