
こんにちは!おハムです
先日訪問の際に、ご家族からあった要望について、モヤモヤしたので考えてみました
「ケアマネ自身の考え」と違う,
「〇〇って、ケアマネさんから強く言ってください」という家族に対して、
家族に言われるがまま「言う」のか、
違う意見を伝えるが「言う」のか
自分の意見を伝えて「言いません」といえるのか…
みなさんはどうされますか???
(個人情報保護のため、内容を変更してお伝えしています)
登場人物
92歳 男性 要介護1
ひどい難聴があり、耳元でゆっくり話しても、短い質問は6割程度、長い話はほぼ伝わらない
妻と長女夫婦と4人暮らし
半日の運動型のデイサービスに週2回通っている
入浴・排泄は自立している
歩行は非常にふらつきが強く不安定
セニアカーで散歩に行くことが楽しみで毎日行っている
一人っ子で、両親の介護と家事全般を担っている
記憶障害はあるが、歩行可能で自宅での生活は自立
シーン1:3年前
こんなに足がふらふらで、もっと運動したほうがいいと思うんです
半日のデイサービスだけじゃなくて、「1日のデイサービスに行くよう」に言ってください!
家族の話なんて、Aさんは全然聞きません。耳も遠くて伝わらないし!
すでに半日デイを週2回行っているので「運動」を目的に促すのは厳しいと思いますが…
面接の中で勧めてみますね!
必要ない
運動は半日デイサービスでしとる
あんまり出かけるとセニアカーで散歩する時間がなくなっちゃうもんで
(私もそう思うなぁ)
(本人のいないところで…)
老化による筋力低下は訓練をしても改善しないことが多いです
Aさんも嫌がっていますし…
父が転んでからでは遅いんです!!!!
高齢だし、だんだん弱っていくから今のうちから徐々にサービスに慣れておいたほうが今後いいでしょ!父のためにいいことはやってあげたいんです
…その後同じようなやり取りが半年以上続きました。長女さんは意見を変えることはなく、Aさんがデイサービスに行くことを承諾してくれました
1年ほど通いましたが、他利用者とのトラブルあり。もともと行きたくなかったAさんは「もう行かない」と話され、デイサービスを終了することになりました
その後は今まで通り、半日デイサービスを週2日利用できている状況です
シーン2:セニアカー散歩
セニアカーの散歩は毎日行っているよ!
2時間くらい
季節の花を見たり、この辺りの道を散歩している
気持ちがいいよ!自販機でコーヒー買ったりして
いいですね!外に出ると気分転換もできますし
今の季節、近所で見どころはあるんですか?…
(本人のいない所で)
おハムさん!
こっちは心配でたまらないんです
セニアカーの散歩もやめてほしい
何かあったら、どうするんですか!
私も「散歩に行くな」とは言えないけど…
セニアカー散歩、「すごいですね」とか「いいですね」とかいうのやめてください!
セニアカーで散歩しているから、気分転換ができて穏やかで、刺激があるから認知機能を維持できているように見えるが、その発言が長女さんのストレスになってしまっている…
言わないほうがいい状況だな
シーン3:杖歩行
家の中でも転倒を繰り返しています
手すりは家じゅうについているのですが、手すりがないところもあります。
手すりだけでなく、片手に杖を持ったほうが安全です
そうやって言ってください!
確かにそうですね!
長女さんから言ったら、何って言っていましたか?
耳が悪いから、言っても伝わりません
全然使わないし、怒れてしまう!
(身振り手振りを交えながら説明する)
(家族が心配していること、転倒して骨折すると面会もできなくなってしまう事など含め伝える)
手すりにつかまっているから、杖はいらんね!
もういい!!!!!知らない!
シーン4:デイサービス再び
セニアカーの散歩も、自宅で杖も使わないのも、自宅にいるからよ!
こんな状態なら、デイサービスに行ってほしい!
おハムさんから言って‼‼‼‼
おハムさんが強く言えないのであれば、強い人を連れてきて言って!
・・・・・
どのように考える???
Aさんと、長女さんの気持ちのズレではありますが、ケアマネとして「利用者の権利擁護」や必要性を加味した結果、「長女さんと、Aさん(ケアマネ)の意見のズレ」を「ジレンマ」として感じています
皆さんは、サービス提供において「ジレンマ」を感じたことはあるでしょうか。 たとえば、管理者は常に「利用者の福利優先」と 「企業の利益優先」というジレンマに悩まされます。ジレンマは、 従業者がサービスを提供する際にも生じており、ここに意識を向けられるかどうかがリスクマネジメントの観点では非常に重要です。代表的なジレンマにはこの様なものがあります
《ケアマネジメントにおける代表的なジレンマ》
①自宅で過ごしたい ⇔ 施設に入所してほしい(家族)
②Aデイサービスに行きたい ⇔ Bデイサービスに行かせなさい(企業の利益優先)
③放っておいてほしい ⇔ 介護予防をしたい(ケアマネ)
④オムツ交換してほしい ⇔ トイレでの排泄も可能なのに (フェルトニーズ) (ノーマティブニーズ) (主観的ニーズ) (規範的ニーズ) (自己決定) (自立支援)
《ジレンマは制度や職業倫理に照らし合わせて解消する》
ジレンマは、ケアマネジャーの進め方によっては、権利侵害に直結します。そのため、管理者による適切な指導や事例検討会などを通じて、ジレンマ解決の手立てを探求することが求められます
ジレンマの解決策は倫理綱領などに照らして、その時々の最善策を考える必要があります。 なかには「高齢者の虐待の通報義務は、守秘義務よりも優先する」「話し合いを重ねたうえで折り合いがつかないときは、 自立支援よりも自己決定が優先する」 など 優先すべき事項が明確なこともあります。
ジレンマについては、まずは判断を保留にせず、迅速に対応を決定し、 状況を見ながら臨機応変に対応していきましょう
対応
Aさんと長女さんの気持ちのズレがあり、強い難聴のせいでコミュニケーションも十分に取れないことにより、家庭内がギスギスしてしまっている状態です
自分の行動に文句ばっかりいう、長女が口うるさい
自宅にいるとうるさいため、1人で散歩に出かける時間が至福
心配してくれていることはわかるけど…
もう十分運動もしている
これ以上はできないし、家にいたい
長女が怒っている…
Aさんは、
・自分の体は自分がよくわかっているため、好きなようにさせてほしい
父は、もともと家長であり威厳があり頑固だから私の言うことは聞かない
1人娘だから、自分がちゃんと見てあげないと
転んで骨折したら、会えなくなってしまうから、何とかしたい
自分は父との関係をこれ以上悪くしたくない
誰かに何とかしてほしい
こんなに良くしてあげたいのに、人の心配をよそに全くいうことを聞かないことがストレス!
長女さんは、
・心配だから、危ないことはしないでほしい
・父にとって、「自分(長女)がいいと思うこと」をやってほしい
・絶対に転倒や骨折をしてほしくない
・自分でない誰かにそれを勧めてほしい(強制的に!)
長女さんは、「自分の考え=正しい」から、自分の言う通りにAさんが動く以外に正解はないように考えているようです
Aさんの考えや希望を受け付けない状態で、ケアマネにも同様の対応を求めます
私の反対意見については、毎月同じ話をしているせいかスルーされてしまいます
いつまでたっても、平行線状態…
Aさんは現状入浴も排泄も自立いており、家族が介護に疲弊している状態ではなく、「本人のために良かれと思って」希望されている言動。倫理要綱でいう(利用者の権利擁護)を行うことが適切であると考えられる
【対応】
・ケアマネジャーの前では上記のような長女の「押し付け」が強く、反対意見を聞き入れてもらえない状況であるため、担当者会議を開催することにしました
・長女の夫の参加も促しましたが調整できませんでした
・利用している半日デイサービスの担当者が、長女さんと同じくらいの年の方の男性であり、「転倒を絶対しない方法はないです」と長女に諭してくれました(要事前根回し)
・長女さんは「やめてほしい」かもしれないが、本人がセニアカーで散歩をすることは良い効果もあり、本人の大切な時間を取り上げてしまう事になる
・「長女の心配」のために、「Aさんを制限」したいのかどうかについて考えてもらう機会を作りました
・それでもAさん自身は、杖の使用に関して「使わん」と。
毎月の本人・長女・ケアマネの面談では閉鎖的になってしまい、話が停滞してしまっている状態であったので、半日デイサービスさんの協力により、話が進みました
頑固ではあるが、家族思いのAさん
「Aさんのために」のサービスは希望しないが、「長女のために」のサービスであれば受け入れてくれるのではないかな?とも感じました
まとめ
いかがでしたでしょうか?
自分の力不足を露呈する事例で恐縮です…
自分の支援に滞ったら、「第三者を入れて話し合う」!!!!
そうすることで、「滞った考え方」や、「適切でない言い分」が言いにくくなります
ほかの家族や、介護チームに助けてもらうことで打破できることがよくわかりました
「こんな考え方もあるよ」というくらいの視点で見ていただけると幸いです
ご覧いただき、ありがとうございました
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