
こんにちは!おハムです
「勧められるがまま介護申請」「言われるがまま居宅へ連絡」される、介護サービスの利用希望のないAさんと夫
みなさんはどのように対応されていますか?
登場人物
80歳 女性 要介護1 認知症にて服薬治療中
時々会話ができるが、コミュニケーションはほぼ難しい
不安定ではあるが床からの立ちあがり、独歩可能(転倒ハイリスク)
歌もうまく、どこにだしても恥ずかしくない自慢の妻であった
82歳 妻と2人暮らし 子供はいない
男性 高学歴高所得
1日中妻を連れて歩いている
「疲れる」と話される
妻が認知症になってから、プライドの高かった妻のことを考え、住み慣れた地域から市内のなじみのない地域に引っ越した
数か月前の入院の際に介護申請を勧められた
関わりやサービスを拒否される:困ったなを待つのが基本!
私は何も困っていないから大丈夫
妻はちょっと認知症だけど、ひどくはありませんから!
介護サービスは必要ないです
何とかなっています
1日中Aさんについて回っている夫は疲れているように見えるけどな?
なぜ、介護サービスを使いたくないのかな?
《介護サービス利用拒否の背景》
・認知症という病気の分かりづらさ
・周囲の目を気にする
・元気な時とギャップを受け入れられない
・介護サービスが必要であることをプライドが許さない
…など様々な要因が考えられます
「困ったなと感じた瞬間をタイミング良く捉えることを待つこと」が基本となると考えられます
「大事な約束を忘れる」、「家族の名前が出てこなくなる」等、何かのきっかけから関わりが始まることもあります
時間はかかると覚悟して付き合う
サービス拒否の大きな原因に葛藤があります
「否定したい気持ち」と「不安」の両方を抱えていることも珍しくありません
「うちの妻は最近ちょっとおかしいけど認知症ではない」といった矛盾するような言葉は葛藤から出てくるもの
こうした葛藤についてケアマネジャーが答えを出すものではない
本人や家族自身がそこから目をそらしたり、遠回りしながら、向き合っていくことが大切
「そのプロセスに付き合っていくのがケアマネジャーの役割」であるといえます
準備ができていないうちに現実を直視させようとすると混乱を助長させる恐れもある
例えば立派で大好きだった妻が認知症になって、日にちもわからなくなり、便をいじりだしたりするという現実を目の当たりにした夫
夫にしてみれば人生の根幹が崩れたような気持ちかもしれない
そうした場合に「こんな姿ではなく立派な妻だった」という昔の妻の話を聞くことから始まります
「かつての姿と今の姿のギャップに苦しむ気持ち」に向き合うことが大切です
ただ受容のプロセスに付き合う一方で専門職として、冷静な客観的判断も必要とされます
緊急性を判断し、適切なタイミングで、その人に合った形で情報を提供していく必要性があります
サービス利用の希望がない利用者さんに対して、サービスは勧めるべき???
相談を受けたのに、本当に「サービスなし」でいいのかな?
「必要性」はどうかな?
Aさんは介護申請・居宅に連絡をくれたが、本当に何もしなくても大丈夫?
・活動量は確保されているか?認知機能が維持できそうか?→移動は独歩で可能、認知症は服薬をしているが、夫と一緒に買い物やモーニングに行ったり、友人が来てくれたりしてメリハリのある生活を送っている
・自宅で入浴が可能であるか?→夫の介助で可能
・他者との交流の有無→夫や友人が訪問し、よく話しかけている
・リハビリの必要性→指示が通りにくいため効果的なリハビリが可能でない可能性
・家族の介護負担の程度→疲れているように見えるが、「自分が看たい」と夫の意向が強い
・主治医の意見書→「夫の強い意向により介護サービスの利用しないため認知機能の悪化あり」
・転倒の危険性→高い
介護負担や転倒についての不安はありますが、緊急ですぐに介入する必要性はなしでもよさそう
必要性を感じるまで根気強く待つことにしてみます
必要性がなければ「困ったら連絡ください対応」でいいとは思いますが…
ただ、必要性があっても、サービスを希望されなかったらどうすればいいんだろう?
介護サービスの必要性があって、介護サービスの利用を希望されない場合
「ケアマネがしつこいので」など一歩を踏み出しやすくなる言い訳を作るようにしています!
介護サービスだけでなく、受診をすすめる際にも同様に対応しています
「介護は必要な状態ではない」「ひどい認知症ではない」と言いながら家族も「どこかしらおかしい」「このままでいいのか…」と不安を感じていることは多い
利用者・ご家族自身の言い訳作りが突破口となることもあります
「あのケアマネがしつこく言うので」等、なんでも理由があれば一歩踏み出しやすくなりやすい
サービス利用にしても、受診にしても「あのケアマネには困ったもんだね」と悪者にしてもらうよう事前に根回しをしておくと、次の行動に繋がりやすくなる
受診の場合は「お医者様は偉い」との意識を利用しては「先生の顔を立てるため」になどのアプローチが有効な場合もあります
緊急性のある場合で、1人での対応が難しい場合は、包括支援センターさんに一緒に動いてもらうようにします!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
色々な考え方がありますので、「このような考え方もある」程度に見ていただけたら幸いです
認知症の受容できない人は非常に多いです
考えを押し付けるのではなく、「受容のプロセスを見守る支援」はゆっくり話を聞くことができるケアマネジャーの得意分野であるといえます
ただ、全くサービス利用のない人にいつまで付き合うことができるのかに関しては給付が発生しない以上、事務所の判断というか…難しい問題です
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