
こんにちは!おハムです
新規でALSの利用者さんを担当することになりました!
難病であり進行の早い病気であり、介護保険だけでは十分にまかなえない場合があります
ALSの方を受け持った際に利用が可能な制度について調べてみることにしました!
(個人情報が特定されないように詳細は変更してあります)
登場人物
75歳 女性 要介護1
1人暮らし
まだALSの診断をうけたばかりで不安が強い
歩行器歩行可能
隣市に住み、時々泊まり込みで手伝いに来ている
ALS(筋萎縮性側索硬化症)って、どんな病気???
ALS(筋萎縮性側索硬化症)(amyotrophic lateral scieross)とは?
●体を動かすために必要な筋肉が徐々にやせ細り、力が弱くなり、体を動かせなくなる病気
●進行性の疾患で、やがては全身に影響が現れる
●上肢や下肢の脱力からはじまる型と、 球麻痺症状からはじまる型がある
●知覚、視力、聴力、内臓機能は問題ない
●ALSやアミトロなどの略称で呼ばれることが多い。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)の症状
・全上肢の筋力低下: 物をつかめない、蓋を開けられない、腕が上がらないなど。
・下肢の筋力低下: 足が前に出ない、立ち上がりが困難など
・球麻症状:ろれつが回らない 音障害、 飲み込みが悪い (嚥下障害) よだれや痰が増える
・呼吸筋麻痺症状:呼吸苦、呼吸困難
身体を動かせず、喋れませんが、見ること、聞くこと、考えることは健常者と同じようにできます
進行すると、最大級の医療ケアが必要な難病です
ALS(筋萎縮性側索硬化症)の4つの段階
【1:四肢の緊張が高まる】→腱反射の亢進→バビンスキー反射などの病的な反射が見られる
【2:歩きにくさ・ろれつが回らない・飲み込みにくさ・関節痛】多くの場合は片方の手や指から始まる胴体に近い筋・舌にも広がる。症状が出てから診断がつくまで半年くらいかかることもあります(1と逆のこともある)
【3:嚥下障害】筋萎縮や筋力低下が舌にまでおこる
【4:呼吸筋の麻痺】発症後4-5年で、呼吸筋の麻痺がおこり、人工呼吸器をつけないと延命は出来ない状態になる
ALSでは、感覚障害・眼球運動障害・膀胱直腸障害・褥瘡が現れないことも特徴でしたが、長期で見ていくこと起こすこともあります
内臓も正常で、精神症状も出現しにくいといえます
ALSの呼吸筋麻痺は終末像ではなく、病気の途中経過の一部の症状であるという認識に変わってきています
《辺縁運動系の障害》
仮性笑い・仮性泣き:僅かな刺激で泣き・笑いの表情になり、自分では抑制できない
常同制止困難:同じ訴えを繰り返したり、自分の常同を抑制できずに自分の主張を譲らず、状況によって乱暴したり、精神的に異常があるような行動をくりかえします
交感神経過緊張:血圧・脈拍の変動(長期呼吸器療養例、日中の突発的な高血圧、頻脈、夜間低血圧)
《原因》
●原因は明らかではないが、神経の老化が関係していると考えられている。 筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かしている
●脳や脊髄の神経(運動ニューロン *) ダメージを受けることで発症する。
《予防》
確立された予防法はない
《治療》:ALSを根本的に治す治療はなく、以下の薬は進行を遅らせるもの
①リルゾール(リルテック) 神経伝達物質による過剰な興奮を抑え、神経細胞を保護する内服薬
② エダラボン (ラジカット): 神経細胞を酸化ストレスから保護する点滴薬
③リハビリテーション:治療が限られており、日常生活動作の維持のためにもリハビリテーションが重要。 運動障害、構音障害、嚥下障害、呼吸障害に対する リハビリテーションが中心となる
・摂食嚥下機能が低下するため、 栄養管理も要検討
《予後》
●嚥下障害が進行すると、 胃ろう等の経管栄養を検討することになる
●痰やよだれも増え、 吸引器を使うことが多い
● 呼吸筋麻痺に至ると、 人工呼吸器の検討が必要
●人工呼吸器を使わない場合は2~5年で死亡
●人工呼吸器を使う場合は、20年以上生存するケース もある。 球麻痺型は進行が早く、3か月ほどで死亡するケースもある
● ALSの20%で認知症を合併するという報告もある
以下のような人は進行が速いと言われています
・早期に体重減少を示す
・ある種の遺伝性、家族性のALSは発症から呼吸筋麻痺までの期間が短く、重度のコミュニケーション障害を起こしやすい
・頸部筋力低下が早い患者は早期に呼吸麻痺をきたす
ケアマネジャーが押さえておきたい支援のポイント
ケアマネジャーが押さえておきたい日常生活の注意点観察ポイント
〇聴力や視力、認知機能等に変化はないため、専門職の話す内容を本人も理解できていることを知る
○文字盤や伝の心(まばたきや視線で入力できるパソコン)など、コミュニケーションの手段を探す
○病気の進行が早く、長期的ケアを要するので、施設よりも在宅ケアとなることが多い
○人工呼吸器を検討しなければならない疾患なので、アドバンス・ケア・プランニング (ACP)が重要
○病状の進行とともに全介助となるので、地域の社会資源も活用する
○介護の負担は大きく、介護者をサポートする視点を強くもつ必要がある
○ 住宅改修や補助器具など、早めに療養の環境を整える
○ 胃ろう、 人工呼吸器、 喀痰吸引など、最大限の医療的ケアを要するため、かかわる専門職が多い
○ 訪問看護、訪問介護、かかりつけ医、保健師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、栄養士、薬剤師などで在宅チームを形成する
○ ALSは難病法に基づき指定された指定難病なので、保健師がかかわる
○ 残存機能の維持を目指し、 在宅でできるリハビリと自立支援を考える
《医療職に確認しておくこと》
○ 投薬内容
○ 病気の進行状況と見通し
○病状悪化時や急変時の対応
○ 胃ろう、 喀痰吸引など、 医療的ケアの注意点
《ALS医療連携のポイント》
1.患者・家族を孤立させない
2.患者の話を繰り返し聞く
3.適切な時期に適切な知識と技術を
4.ピア・サポートの活用
5.潜在する可能性を引き出す「生の拡充」支援
活用できる助成制度はあるの??
①特定疾患医療助成制度
特定の疾患に限り、保険内の医療費を助成し、また医療費助成を通じて患者の病状や治療状況を把握することで治療研究を推進するという、二つの目的を併せ持っている制度です
対象:次の①または②のいずれかに該当する方
①その病状の程度が、定められた重症度分類の程度にある方
②①に該当せず、同一の月に受けた指定難病に係る医療費の総額が、33,330円を超えた月数が、申請を行った月以前の1年以内にすでに3ヶ月以上あった方
入院・通院・服薬・訪問看護の自己負担分が助成されます
②重度心身障害者医療費助成制度
- 身体障害者手帳1級・2級
- 療育手帳A
- 療育手帳Bの一部
- 特別児童扶養手当1級・2級
- 精神障害者保健福祉手帳1級
…に該当し、所得制限内である場合(各自治体に要確認)、特定疾患以外の医療費の自己負担も助成される
障害福祉の居宅介護・重度訪問介護が該当になります
ただ、障害認定は「障害固定してから」でなくては申請できず、「申請して手帳が届くまで」「手帳が届いてからサービスを利用できるようになるまで」の時間が非常にかかることが多いです…
進行が速い場合、最速で申請手続きを踏んでも間に合わない可能性もあります
③介護保険制度
特定疾病に該当するため、40歳~64歳でも利用できる
④在宅人工呼吸器使用特定疾患患者訪問看護治療研究事業
在宅で人工呼吸器を使用するALS患者に対して、医療保険の回数を超える訪問看護の費用を助成
注意:都道府県によって詳細が変わります
この事業の対象となる訪問看護は、診療報酬において、在宅患者訪問看護・指導料又は老人訪問看護療養費を算定する場合、原則として1日につき4回目以降(ただし、特別な事情により複数の訪問看護ステーション等医療機関により訪問看護を実施する場合にはこの限りではありません。)の訪問看護です。患者さんお一人あたり年間260回を限度とします。支払う額は次のとおりです。
1 | 医師による(当該事業に対して出された)訪問看護指示書料 | 1月に1回に限り3,000円 |
2 | 訪問看護ステーションが行う保健師、助産師、看護師、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問看護の費用の額 | 1回につき8,450円 |
3 | 訪問看護ステーションが行う准看護師による訪問看護の費用の額 | 1回につき7,950円 |
4 | その他の医療機関が行う保健師、助産師、看護師、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問看護の費用の額 | 1回につき5,550円 |
5 | その他の医療機関が行う准看護師による訪問看護の費用の額 | 1回につき5,050円 |
ただし、1日につき3回目の訪問看護を前2回と同一の訪問看護ステーションで行う場合はには、特例措置として3回目に対して次の費用を当面の間支払います。
1 | 保健師、助産師、看護師、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問看護の費用の額 | 1回につき2,500円 |
2 | 准看護師による訪問看護の費用の額 | 1回につき2,000円 |
⑤難病特別対策推進事業
難病のための相談・支援、入院施設の確保と在宅療養生活支援の目的で都道府県が実施する事業
(1) 在宅療養支援計画策定・評価事業
要支援難病患者に対し、個々の患者等の実態に応じて、きめ細かな支援を行うため、対象患者別の在宅療養支援計画を作成し、各種サービスの適切な提供に資する。
また、当該支援計画については、適宜、評価を行い、その改善を図るものとする
(2) 訪問相談員育成事業
要支援難病患者やその家族に対する、療養生活を支援するための相談、指導、助言等を行う訪問相談員の確保と資質の向上を図るため、保健師、看護師等の育成を行うものとする
(3) 医療相談事業
患者等の療養上の不安の解消を図るため、難病に関する専門の医師、保健師、看護師、社会福祉士等による医療相談班を編成し、地域の状況を勘案の上、患者等の利用のし易さやプライバシーの保護に配慮した会場を設置し、相談事業を実施するものとする
(4) 訪問相談・指導事業
要支援難病患者やその家族が抱える日常生活上及び療養上の悩みに対する相談や在宅療養に必要な医学的指導等を行うため、専門の医師、対象患者の主治医、保健師、看護師、理学療法士等による、訪問相談・指導(診療も含む。)事業を実施するものとする
⑥障害者総合支援法における「重度障害者用意思伝達装置」「携帯用会話補助装置」「情報・通信支援用具」の支給
意見書・処方箋・所見所が必要
コミュニケーションツール
・腕や指を動かせるなら筆談も重要なコミュニケーション手段となります
・機器や装置を使わない方法として、文字盤を使って文字を綴る方法もよく活用されます(図2A)。これまで使われてきたのは50音表の文字盤ですが、最近はスマートフォンの文字入力にみられるフリック式の文字盤も使われています
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・『口文字』は文字盤を使わないコミュニケーション手段です。患者さんが唇で母音の形をつくり、『ウ』ならば介護者が、『ウ・ク・ス・ツ‥』と順に発音して、『ス』でまばたきなどをしたら1文字目は『ス』。これを繰り返して文章をつくっていきます。慣れれば5分で200文字以上の文章を綴ることができます
・日常的なリクエストをカードに書いてベッドの周りに貼っておき、患者さんの目線をたどることで「今、して欲しいこと」を知るという方法もあります
・ICT(情報通信技術)機器や専用装置としてパソコンやタブレットなどで様々なアプリが使えるようになりました
ALS患者さんを対象に開発されたものはもちろん、幼児教育用に開発された装置や、肢体障害者向けの入力サポートツールも活用できます
さらに、まばたきや頭の傾きなどの小さな随意運動をセンサーで拾って入力スイッチとして活用する装置も開発されています。脳波や脳血流、皮膚表面の電位などを入力スイッチとする技術の実用化も期待されています
寄り添うことの大切さ
進行が目に見える、非常に不安を伴う疾患であると言えます
先を見越して早め早めに行動しても、障害者手帳のように間に合わなかったり、住宅改修の承認が下りたころには、自宅で入浴できなくなったりと、後追いになりがちです
事前に利用できる制度を把握し、どのように動くべきなのか、今後どうなっていくのか先を見ながら、Aさんが困らないように支援をしていく必要があります
Aさんの気持ちを汲んで、安心して過ごしていくことができるようにしっかり勉強して、対応すること。関係機関(主治医・レスパイト病院・介護士・訪問看護・地域の保健師など)としっかり連携ししていくことが大切なようです!
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