
こんにちは!おハムです
先輩ケアマネが、金銭管理が怪しくなったAさんについて話していました
その話が奥深いなぁと思ったため紹介いたします
登場人物
84歳 女性 要介護1 ひとり暮らし
「年金受給日になると尋ねてくる知り合い」に理由もなく、お金を渡している
年金受給日になると尋ねてくる謎の知り合い
Aさんを1年前から担当している
主任ケアマネで美人でベテラン
50歳 真面目
主任ケアマネで管理者 60歳
温和でユニーク
普通ケアマネの私 3年目
30代 一歩先ゆく星人 失敗も多い
本人の財産を守る方法である…成年後見制度・日常生活支援制度とは
担当のAさんが「年金受給日になると尋ねてくる知り合い」に理由もなく、お金を渡しているみたいなんだけど…
本人に何らかの精神疾患や認知症があれば、すぐに成年後見制度や日常生活支援制度を提案していくんだけど、どうしようかな?
【成年後見制度】
・親族などの申立により(民法第7条)、家庭裁判所が、本人に代わって本人のために財産管理や身上監護を行う成年後見人等を選任する制度です
・本人の能力によって、後見、補佐、補助の3種類があり、いづれも後見人がネコババしないかどうか、家庭裁判所や後見監督人がきちんとチェックします(民法第863条)
成年後見制度にの利用には、
・家庭裁判所への申立が必要であるなど、いろいろな手続が必要で面倒
・申立にお金がかかる
これらで、困るようであれば日常生活支援事業(お金や大切な書類等の管理を社会福祉協議会に委ねる制度)を利用しても良いね
(本人が日常生活支援事業を理解して契約する必要はあるけど…)
成年後見人との付き合い方
ケアマネジャーとして成年後見人とはどのように関われば良いのでしょうか?
後見人が選任されると、ほとんどの場合は介護契約は後見人等が本人に代わって行うことになります
私は本人の生活上の要望や財産状況については把握していますが、介護サービスに関してはよくわかりません
だから、本人が受ける介護サービスに関しては、成年後見人としっかり打ち合わせをすることが不可欠!
でもなかには、推定相続人が成年後見人を担う場合…本人の財産をできるだけ使わないようにしておいて、将来自分が相続する財産を減らさないように考える人もいます
このような人は、「本人の意思を尊重し、本人の心身の状況や生活状況に配慮するように」定めた民法第858条に反する可能性もある!
だから、時には本人のために成年後見人に“物申す姿勢”も大切だよ
利用者さんの“信頼”にこたえる
成年後見人を利用すると多くの場合…
自分のお金が管理できなくなってしまった
これから私どうなるんだろう…
私はボケ老人になってしまった…
プライドに関わる問題なので、受け入れがたいと感じる方も少なくありません
さらに、寂しさから尋ねてくる人に必要以上にお金を渡してしまう人も多くいます
その気持ちはわからなくもありませんし、全てが行けないという訳ではありません
しかし成年後見人が選任されれば、このようなお金の使いみちは難しくなるといえます
ケアマネジャーとして成年後見人の利用を勧めるに、どのような配慮が必要なのでしょうか?
成年後見人の利用を始めることを勧める高齢者は、「成年後見制度の仕組みを信頼して」成年後見制度を利用するのではないように感じるの
つまり「自分のために色々考えて成年後見制度を勧めてくれたケアマネジャーを信頼して」この制度を受け入れるのではないかと思うんだ
他にも、どのような人が後見人を検討するといいのかな?
成年後見制度は、虐待などの特別な時だけに利用するものではありません
不動産の売却を行うときや、相続手続きを行う時には必要に迫られて、法定後見人を申し立てることはあります
特に以下のような人には、任意後見人を提案してみてもいいかもしれません
独身・配偶者に先立たれた子供がいない方
・両親はすでに亡くなっている
・1人兄弟で親戚との付き合いがない
・結婚歴がなく、子供もいない
・子供がいない夫婦で、配偶者も亡くなっている
子供のいない夫婦
なぜこのような方にお薦めなのでしょうか?
法定後見人の申立人(申請してくれる人)がいない
申立人には ・本人もしくは配偶者・4親等以内の親族・市町村長しかなることができません
そして、申し立ての費用は申立人が支払うことになります
親せきに頼めない場合は市町村長になりますが、緊急性や予算の関係ですぐに対応してくれるとは限りません。希望してから申立するまでに、半年から1年かかることもあります
申立しても、後見人を受けてくれるかもしれない兄弟も高齢になるため、受けてもらえるかわかりません
どのようにすれば、安心した老後が準備できるのでしょうか?身元保証サービスも非常に高価ですがこれらに契約すれば安心して過ごすことができるのでしょうか?
おひとり様、おふたり様が安心して過ごすためには???
①「生前事務委任契約」:判断能力はあるが、体が自由に動かせない場合に、本人に代わって、銀行にお金をおろしてきたり、市役所で申請などを行うことができる
②「任意後見契約」:誰も申立人になってくれない可能性があるため
③「死後事務委任契約」:後見制度は亡くなったら効力がなくなる。その際に誰も担ってくれる人がいない場合、「死後事務委任契約」を結んでおけば、その人が、葬儀や納骨などの死後事務を執行することができる。夫婦の場合でも、配偶者の死後に残された人が要介護状態であることも想定されるため事前に準備しておくと安心
④「遺言書」
おひとり様で、相続する人がいない場合は「国庫に帰属」します。お世話になった人など渡したい人がいる場合は遺言書をかいておくといいでしょう
子供がいない夫婦でどちらかがなくなった場合、財産の1/4は亡くなった人の兄弟に渡ってしまいます。自宅の相続権も1/4が渡り住まいの確保が難しい場合もあります。子供なしの夫婦の場合は「全額を配偶者に渡す」という旨の遺言書を残しておくほうがいいでしょう
本人に判断能力のあるうちしか準備できないため、事前に準備をすることで安心して過ごすことができるようになります
身元保証サービスを提案する際にも、上記について対応可能であるのか確認して紹介するといいでしょう!
参考文献:おひとり様 お二人様 成年後見制度活用のススメ
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まとめ
成年後見制度は大切な制度ですし、この制度に助けられる人は大勢います
利用者さんとの信頼関係を築くことで、魂のこもった、活用できる制度にしていきましょう
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