
こんにちは!おハムです
最近、ALS(筋萎縮性側索硬化症)に診断されたばかりのひとり暮らしの利用者さんを担当することになりました
徐々に低下していく身体機能を目の当たりにしながら生活されています
まずは不安の緩和のできる体制づくり。そして現状の心身機能・日常生活活動をできるかぎり維持・改善し、社会参加を促し、患者と家族の QOL を維持・向上させることを目的に支援しますが…
医療保険での訪問看護の対象で利用日数などに制限があります
訪問リハビリテーションを介護保険で使えば併用できるのか?訪問リハビリテーションも医療保険で使えるのか?わからなかったので調べてみました
登場人物
隣市に住んでいる
母が心配です こまめに泊まりに来るようにしています
初回訪問にて…
不安で不安で…
1人でここにいることも不安です
本当はずっと入院できたら良かったけど、それはさせてもらえなくて…
これからどうやって過ごしていこうか…
デイサービスとかも考えなくては行けないかもしれないけど、出かけることにも不安があります
まずは訪問で動けなくならないようにリハビリをしたいです
汗もかくので、毎日嫁に手伝ってもらってシャワー浴しています
家族にも迷惑をかけてしまって…
母が不安が強くて…
自分たちも仕事をしているし、子供のこともあるのでなかなか一緒にいてあげることが出来なくて
出来るだけサービスを利用して安心して住めるようにできたらと思います
母は混乱していて、ずっと病院や施設でいいとも言うのですが…
家族としてもどうするべきなのか悩んでいます
どの程度の状態まで自宅でいられるのかわかりませんが、1回自宅で生活してみながら考えをまとめていくことが出来たらと考えています
毎日看護師さんやリハビリの先生に訪問に来てもらえることは出来ますか???
取り急ぎ住宅環境整備を行って、あとは不安の緩和・機能維持と保清介助の調整を行います
今後の事を考えて訪問でのリハビリテーションは看護も提供できる「訪問看護事業所」のほうが良さそうです
訪問看護は医療保険になるはず…難病指定もあるので負担も減るはず
どれだけのサービスが利用できるのかなぁ
《訪問看護のルール》
【医療保険?介護保険?】Aさんは要介護認定を受けているから基本介護保険での利用になりますが、ALSは「厚生労働大臣が定める疾病等」に含まれるから「医療保険」の対象
《医療保険の訪問看護のルール》
・通常週3回まで、1回の訪問時間は30分から1時間半程度、1日に1回まで
・特別訪問看護指示書が発行された場合、週4日以上(回数制限なし)も可能
・訪問看護ステーションは1か所に限ります(複数の訪問看護の併用はできない)
《訪問看護と訪問リハビリテーションの併用》:日本訪問リハビリテーション協会参照
・訪問看護のリハ(訪問看護Ⅰ5)と訪問リハの併用は可能か
訪問看護と訪問リハは別のサービスとなるので、 訪問リハサービスの導入(併用)は可能です
(根拠)指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準、指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について
・訪問看護のリハ(訪問看護Ⅰ5)と訪問リハを併用する場合、各々6回/週を限度として算定可能か?
訪問看護からの理学療法士等の訪問はリハビリテーションでなく看護の一環となり制度上リハビリテーションにあたりません。
そのため訪問リハとの併用は可能となり各事業所とも6回/週の算定は可能です。
(根拠)指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準、指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について
すごいです!!!
訪問看護の看護師訪問だけでなく、リハビリ訪問も併用が可能でした
しかも、合わせて週に6回!
あっ!でもこれは、両方とも介護保険での話ですね
今回は訪問看護は医療保険該当になるからどうなるのでしょうか?
・訪問看護のリハ(訪問看護Ⅰ5)と訪問リハを併用する場合、医療保険・介護保険で変わるか?
介護保険法上、訪問看護Ⅰ5は訪問看護サービスであり、訪問リハビリとは別のサービスに区分されます
訪問看護と訪問リハビリの併用は、ケアプランに適切に位置づけられていれば問題ありません
また、医療保険においても訪問看護ステーションの理学療法士等が実施するリハビリテーションは訪問看護となるため、訪問リハビリ事業所からの医療保険でのリハビリテーションとは別となります
(根拠) 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準、指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について
普通に併用は可能なんですね!!!!!
そういえば、訪問リハビリテーションは医療保険での利用にはならないのかな?
ALSは特定疾患受給者証の対象になり、医療費の減免が受けられるから医療保険のほうがいいのかな?
・難病法における医療費助成の対象として、医療保険・介護保険の訪問リハは該当するか
指定難病医療費助成制度は指定難病を有し、病状の程度が一定程度以上の方が対象となり、医療保険(在宅患者訪問リハ指導管理料)・介護保険の訪問リハも助成対象となります
医療費助成を受ける際は、特定医療費受給者証に指定医療機関等として訪問リハの登録と、毎月の自己負担上限管理票の記載が必要となります
【根拠】難病情報センターhttps://www.nanbyou.or.jp/
・リハビリ(訪問リハビリ・通所リハビリ)の際の医療保険と介護保険の優先順位は、リハビリの目的が病気の治療にあるかどうかで変わります
医療機関で病気の治療や症状の回復が目的で行われるリハビリは原則として医療保険が適応されます
逆にリハビリが病気の治療の沿線上にない場合は、原則として介護保険が適応されます
Aさんの場合、訪問リハビリテーションは介護保険が優先になり、訪問看護は医療保険が優先になります
両者共に、特定疾患医療費助成制度の適応となるようです
そういえば訪問看護は医療保険で良かったと思うけど、他の難病の人に訪問看護が頻繁に介入しているのを見たような…
《医療保険での訪問看護:介護保険受給者で医療保険が優先になる場合》
大きく分けて4つの場合があります
A. 末期の悪性腫瘍および厚生労働大臣が定める疾病等(下記)に該当する場合
また、急性増悪期の特別訪問看護指示書の交付がある場合
《 厚生労働大臣が定める疾病等 》
- 末期の悪性腫瘍
- 多発性硬化症
- 重症筋無力症
- スモン
- 筋萎縮性側索硬化症
- 脊髄小脳変性症
- ハンチントン病
- 進行性筋ジストロフィー症
- パーキンソン病関連疾患
・進行性核上性麻痺
・大脳皮質基底核変性症
・パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ三以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る) - 多系統萎縮症
・線条体黒質変性症
・オリーブ橋小脳萎縮症
・シャイ・ドレーガー症候群 - プリオン病
- 亜急性硬化性全脳炎
- ライソゾーム病
- 副腎白質ジストロフィー
- 脊髄性筋萎縮症
- 球脊髄性筋萎縮症
- 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
- 後天性免疫不全症候群
- 頸髄損傷
- 人工呼吸器を使用している状態
B. 65歳以上で要支援・要介護に該当しない方
C. 40歳以上65歳未満で、老化が原因とされる病気(政令で定める特定疾病)以外の方や要支援・要介護に該当しない方
D. 40歳未満の医療保険加入者とその家族(病的な妊産婦や乳幼児などを含む)
上記A〜Dいずれかに該当する場合は、介護認定を受けていても医療保険でのサービス利用となります
これらの疾患および状態の療養者への訪問看護は、
①介護保険や障害者自立支援法の対象であっても医療保険から受けることになり、 訪問看護の頻度は週4日以上算定できるとしています(通常は週3日まで)
また難病など複数回訪問加算として1日に3回まで訪問の算定が可能です(通常は1日1回)
②複数の訪問看護ステーションの利用については、同一日にならなければ2か所の訪問看護ステーションの併用が可能です(通常は1か所)
緊急の場合は同一日であっても2か所目のステーションも算定できるようになりました
③3か所の訪問看護ステーションが指定訪問看護を行うことができる期間は、週7日以上の指定訪問看護が計画されている場合に限ることとなっています
あれっ???
利用制限がない…
散々悩んでたどり着いた答えは…
訪問看護の利用に利用制限がないため、リハビリ・保清に十分に活用できるため、訪問看護(看護師訪問+リハビリ訪問)を活用することにしました
まとめ
制度がよく分かっていなかったため、すごく遠回りして答えにたどり着きました
これでAさんの不安は少し緩和できるのではないでしょうか???
なかなか、訪問看護のリハビリと、訪問リハビリテーションを併用したい人に出会うことがなかったため相当悩みました
みなさんの参考になるとうれしいです
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