
こんにちは!おハムです
みなさんの支援する御家族のなかに「認知症だって頭では分かっているけど、つい怒れてしまって喧嘩になってしまう」「(認知症だけど)認知症になりたくない」と話される方はいませんか?
私達が思っている以上に、「家族が認知症になった」ということを受け入れる事は難しいようです
御家族は一般的にどのような気持ちに移り変わっていくのか、一緒に考えてみましょう
※個人情報保護のため内容は変更してあります
※考え方の1つとして捉えていただければ幸いです
登場人物
90歳 女性 人柄は穏やかで夫婦仲はいい
ずっと1人くらしであったが、数年前から娘さんの家に同居している
トイレには1人で行ける
物忘れがあり5分たつと忘れてしまう
60歳 娘 3世代家族
家事も介護も担っている
1年ほど担当しています
デイサービスも、問題なく定期利用できています
1月
なんにも困ることはありません
ここにいればみんな良くしてくれます
本当に幸せ
認知症にならないようにしたいです
少しでも頭を使うように、薬をBOXにセットしてもらったり、洗濯物をたたんだりしてもらっています
診断は受けてはいないけど、明らかに認知症…
これはあえて言ったほうがいいのか…
とりあえず今月は様子見よう
2月
お母さんにデイサービスに行っても、なにもやってないっていうの
お風呂も入っていないって言うし…忘れちゃったのか、本当に入っていないのか?
認知症になったらおしまいだね
(本人のいないときに)
認知症についてわかりやすく書いてあるパンフレットをもとに認知症予防についての記載の部分を説明し、あえて認知症の概要部分については触れないようにして「よかったら見てみてください」とお渡ししました(疾患の理解不足の可能性あるため)
利用しているデイサービスにも、「家族・本人が認知症であると認識ができていないこと」を伝えることにしました(急に認知症で断定して話すことでのトラブルになりうるため)
3月
編み物が好きだから、家にいるときはずっと編んでいます
編み物が出来るように毛糸をかってきているけど、途中で何を作っているのか忘れちゃうの
…認知症なんだなぁとは思います
もっと、忘れないように漢字ドリルとか買ってみようかしら?
Aさんは字を書くのがうまいのでちょうどいいかもしれませんね
勉強してみます
5月
お母さん認知症、これ以上悪くならないように頑張っているけど良くはならない
もっと色々なことをして認知症を悪くさせたくないです
《障害受容の段階》:障害を直視し、障害に立ち向かい、障害とともに生きることも自己の生き方の一つであることを受け止め、生活していくことを受け止めていく段階
段階的モデル (ドローター 1975年)
第1段階 ショック:元気だった家族の異変に気づくものの何が起こったか理解できない状態→しかし、この時期は長くは続かず少しずつ現実を認識できるようになります
第2段階 否認 :受け入れられず否定し、周囲に打ち明けられずに一人で悩む時期
第3段階 悲しみと怒り:混乱・怒り・拒絶:認知症の理解が不十分であるために、認知症の症状に振り回され、心身ともにつらい時期
第4段階 適応: あきらめ・割りきり:認知症の理解が進み、認知症の症状に振り回されても損だと考え、認知症の人を元に戻そうとするのをあきらめるようになる時期
第5段階 再起 :受容、認知症の理解がさらに深まり、認知症の人をあるがままに家族の一員として受け入れられる時期
段階を登っていくのは個人差があります。短時間で障害を受け入れることができる家族もいれば、悲しみの段階に時間をかける家族もいます。支援者は、家族の感情を受け入れてかかわる必要があります
これまで元気だった家族の知性の衰退を見ることの苦悩や意思疎通の困難さ(関係性の喪失に伴う苦悩)、他人に迷惑をかけていないかという気遣いなど、認知症という病気に特有のつらさがあるとされます
娘さんは第3段階「 認知症の理解が不十分であるために、認知症の症状に振り回され、心身ともにつらい時期 」であると考えられます
毎月の訪問のたびに同様の話をされました
ゆっくり話を聞きながら、事実と気持ちが近づいていくように支援することにしました
7月
最近、本屋さんでたまたま見つけた本でこんな本見つけたんです
見てみて!
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小学生の読書感想文の課題本…
ちょうど、最近図書館で読みました
「認知症のおばあちゃんが認知症になって忘れてしまったから、つらい思い出がつまった食べ物を美味しく食べれるようになって、忘れることは悪いことばかりではないな」という本です
自分のために買ったんです
なんだか気持ちが吹っ切れたような気がしました
しっかりしていた母が認知症になってすごく辛かったのですけど、認知症になることは悪いことではないのかもしれないと思えてきたんです
まとめ
心理的段階は行きつ戻りつ,紆余曲折を経て進んでいきますが,被介護者の施設入所や死去などにより、途中の時期で介護が終わることもあります
また,Aさんのように、認知症の症状を受け入れていると語っていても(3段階の時期にいるように見えても)、どこかで認知症を否定している(1・2段階の時期にいる)場合も少なくありません
こちらから家族の気持ちに寄り添う姿勢を示すことが、家族の心理面のケアの第一歩になります
家族の“現在”の気持ちを尊重(傾聴・受容・共感)して、被介護者の現状を否定したい気持ちに寄り添い、受け入れることが大切ですね
「わすれたっていいんだよ」は2回目を読んでも涙が…
まさか絵本で受容が進むとは思いませんでしたが、気持ちの整理のツールとして他の受容が出来ていない御家族にもオススメしていこうと思います
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