こんにちは!おハムです
「引きこもりの息子」に生活を蝕まれている母。救助の手を差し伸べても、最終的には、「私が見捨てればあなたは生きていけない」と「共依存」関係
2人の関係の深さから、なかなか解決しない事例ありませんか?
自分はどのように関わるべきなのか調べてしました!
※個人情報の保護のため内容は変更してあります
※考え方の1つとして捉えていただければ幸いです
登場人物
75歳 女性 要支援1
息子と2人暮らし
年金暮らし
亡くなった夫も飲酒しては暴力を振るっていた、夫から息子を必死で守ってきた
ウチのは相談でなくて愚痴だから聞いてくれれば大丈夫!
引きこもり 無収入
軽度の知的障害があるが手帳はもらうレベルではない
てんかんと統合失調症がある、通常学級で育った
30年前に事故やトラブルをいくつか起こした
大好きなアイドルのグッズなどを多量に購入し、Aさんの年金支給日前には飲まず食わずの日が続いたり、暴れて壁に穴を開けるなど暴力に近い状態のときもある
Aさんの思い
この子を生んで、こんな病気にしてしまったのは私の責任
息子がお金を使ってしまうから、食べるものにも困ってしまって
息子と離れて暮らしたい…
まずは気分転換のためのデイサービスや施設の見学に行ってみましょう(→段取りする)
息子が「お母さんがいないと僕はとっくに死んでた」って私に言うんです
あまりに不憫で…。今回の話は白紙に戻してください
…これを繰り返しています。。。
・Aさん自身の話を聞いても、すぐに「息子が」と主語が息子にすり替わる
・Aさん自身は愚痴は聞いてほしいし、大変さは認めてほしいが、支援を提案しても受け入れることはありませんでした
具体的な援助を提供できない原因は「2人の密着した関係性」にある、まさに《共依存》状態であると思いました
Aさんの支援にどこまで向き合うべきなのか…悩んでしまいました
共依存とは
《共依存》とは
自分と特定の相手がその関係性に過剰に依存しており、その人間関係に囚われている関係への嗜癖状態を指す
すなわち「人を世話・介護することへの愛情=依存」「愛情という名の支配=自己満足」である
共依存者は、相手から依存されることに無意識のうちに自己の存在価値を見出し、そして相手をコントロールし自分の望む行動を取らせることで、自身の心の平穏を保とうとする
他人に依存するあまり自分自身を見失っている状態のことといえます
具体的には下記の状態の人が該当します
親子間の共依存
親が子供に必要以上に執着し、自立を妨げてしまうことを親子間の共依存といいます。
親が子供の世話をするのは自然なことですが、共依存の親子関係の場合、親は過剰に世話を焼いたり子供の行動を支配したりして、子供に自分の存在の大きさを示そうとします。
そうなると、親だけでなく子ども自身も「親がいなければ何もできない」と思い込み、共依存の関係が進んでしまうのです
Aさん親子は、まさにコレ!!!
夫婦間の共依存
夫婦間の共依存では、お互いに相手に尽くしすぎたり束縛しすぎるという特徴があります。
パートナーのために尽くすのは素敵なことですが、自己犠牲をしてまで世話を焼くとかえって逆効果になってしまい、自分の人生に価値を見出せなくなる可能性があるのです。
また、共依存の夫婦は頻繁に連絡を取り合い、互いに束縛する傾向があります。
「妻(夫)は自分のもの」という意識が強いので、常に相手の行動を確認してしまうのです。
恋愛での共依存
尽くし尽くされの関係になるのが恋愛での共依存です。
夫婦間の共依存に似ていますが、恋愛では片方が尽くし、片方がそれに甘えるという特徴があります。
尽くす側は恋人がダメになればなるほど自分の存在価値を感じるため、さらに尽くします。時にはパートナーの自立を妨げるほど過剰になってしまうこともあるでしょう。
しかし、いくら尽くしても満たされないのが共依存の特徴なのです
共依存はDVに繋がりやすい
夫婦間・恋愛での共依存はDVに繋がりやすいです
DVは歪んだ愛情で相手に執着する加害者と、自分の存在価値を見出せなくなっている被害者によって成り立ちます
一見加害者のみが依存しているように思えますが、被害者も「この人は自分がいないとダメだ」と思い込み、加害者に依存することもあるのです
そんな共依存の関係ができてしまうとお互いに離れられなくなり、被害者が危険に晒される可能性もあります
「共依存」の特性
①強いアンビバレントな思い
アンビバレントとは、「好き/嫌い」「行きたい/行きたくない」といった、相反する感情を同時に持つことです。誰でも、多かれ少なかれそうした気持ちを持つものですが、共依存においてはそれが双方に顕著に現れます
涙ながらに「息子と離れて暮らしたい」というAさんですが、いざとなると「お母さんがいないと僕は死んでた」という息子の発言を用いながら息子が自分を必要としていることを強く主張します。どちらの気持ちも本当で、どちらも非常に強いものです
「こんなに手のかかる息子とはもう離れたいと強い気持ち」がある一方で、「息子がいないとAさんの存在価値も揺らいでしまう」
「窮屈な親子関係」でありながら、「Aさんは存在を唯一保証してくれる存在であり、負の感情をぶつけることが出来る、なくてはならない存在で」あると言えます
②閉じられた関係
関係性に広がりはなく、当事者だけの関係に閉じられています。本人の「相談でなくて愚痴だから、聞いてくれればいい」という発言はとてもAさんの気持ちを表しているように感じます
「愚痴」を話すことで
自分の日々のつらさを関係者に理解してほしい
そして「息子を守れるのは私しかいない」ということを再確認したい
「聞いてくれればいい」に込められている気持ちは…
「援助は要らない、この関係を変えるつもりはない」という宣言であり、現状を継続したいと思っている
③共依存関係に至るまでの経緯
・亡き夫の「飲酒」と「暴力」、その夫から息子を守ってきた
・息子の病気、「こんな子にしてしまったのは私のせい」と考え、一身に背負ってきた
⇓
徐々に心身ともに安心できる居場所が狭まり、自分の居場所と生きる意味を見出すために、「息子との関係」を拠り所を求めるしか残された選択肢はなかった
どのように働きかけたらいいのか?
Aさん、息子さん双方にとって苦しく根深い共依存関係から抜け出し、健全な親子関係に向けて、またそれぞれが新たな1歩を支えていくために、これからどのようなアプローチが必要でしょうか?
《共依存》そのものにアプローチをするのではなく、援助者としてAさん、息子さんにそれぞれ向き合い、適切に働きかけていくことが重要なステップであると言えます
①息子の閉じられた関係性を開く
Aさんと息子さんは共依存にあるとはいえ、息子さんはあくまでも子供の立場であり、過去の経緯を踏まえると、Aさんに巻き込まれた形になっている。Aさんの存在を支えるために息子さんの社会関係が固く閉じられてしまっている状態
まずは、強固な共依存関係を直接変えようとしたり、強いアンビバレント状態にあるAさんに働きかけるよりも、息子さんの社会関係を開くほうがアプローチしやすいと言えます
・地域の専門職と協力する
・息子さんの担当者との援助関係作りにじっくり取り組む
・そこから息子が受け入れられる社会的な居場所をつくる
・地域においてその関係性が出来てくると少しづつ共依存関係がゆらぎ、その関係自体に介入できるチャンスが生まれる
②Aさんの生きる意味や存在理由をAさんから見出す
「Aさん自身の生きる意味」や「存在理由」を、息子さんに求めるのではなく、自分の中に見つけることが出来るように働きかける
・Aさん自身の過去を整理し、意味づけと評価をすることに加えて、今後の生き方についての洞察を本人とともに行う
・どのように生きたいかを「私」を主義にして、Aさん自身が言語化出来るように取り組む。そのためにも、息子さん側の社会関係を開いておくことが大切
③共依存関係を超えた新たな親子関係を形成する
①②のアプローチを基本にして「変化を待つ」といった感じです。それぞれの社会関係システムが親子関係に影響を与えるからです。
共依存関係からの脱却とは、決してこの親子関係を薄めることではなく、関係の質に新たな変化をもたらすことなのです
それは、「共生的な相互依存関係」の形成といってもいいでしょう。つまり「プラスの依存」への変換と表現できるものといえます
まとめ
「生きる意味」や「存在理由」を相手も求めようとして、そこに二者間の相互性が重なった場合、「共依存」という関係に発達します
それは負のスパイラルになり、やがて双方を極限まで追い詰めていくことになります
この「共依存」からの脱却のために必要な視点として、「生きる意味」を自分の中に見つけることが大切です。人は自分の人生を歩むことをもってのみ、「自分」として存在出来るということを踏まえる必要があります
その過程の支援が必要であると言えます
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