
こんにちは!おハムです
居宅事業所には守らなくては減算になるルールがあります!
「業務の範囲が曖昧である」とよく言われていますが、ケアマネ自身が「最低限何をやるべきなのか」を、法的根拠を持って知っておくことが大切であるといえます
特に管理者さんたちには当たり前の内容ではあるかと思いますが、理由があって「ちょっとくらいいいか」となっていないか確認してみましょう
法律と法令の違い
法令とか、法律とかいろいろな言葉が出てくるけど、全部一緒なのかな?
法改正の時の厚生労働省からの通知を読んで「こうなのかな?ああなのかな?」と解釈した後に、少しづつ「具体的にはこうだよ」とQ&Aが出てきたりして、何が何なのか分からなくなってしまって混乱してしまう!
正式名称 | 解説 | |
法律 (国会が決めるもの) | 介護保険法(H9.12.17 法律第 123 号) →法 | 介護保険制度の目的、各サービスの定義、サービス給付内容等について定めた法律 |
政令 (内閣が決めるもの) | 介護保険法施行令(H10.12.24 政令第 412 号) | 法を補てんする細かい規則を定めた政令 |
省令 (省庁が決めるもの) | 介護保険法施行規則(H11.3.31 厚生省令第 36 号) →法施行規則 | 法を補てんする細かい規則を定めた省令 |
省令 | 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 (省令で定める基準に従って条例で定めている) →運営基準 | 居宅介護支援を提供する上で、満たすべき職員数、運営方法等の基準を定めた省令 |
告示 | 指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準(H12.2.10 厚生省告示第 20 号) →算定基準 | 居宅介護支援費に関する基準を定めた告示 |
告示 | 厚生労働大臣が定める基準 →定める基準 | 算定基準等で示された内容の一部について、より詳細な内容を定めた告示 |
通知 | 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について →解釈通知 | 運営基準の内容を補足し、解釈を加えた通知 |
通知 | 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(H12.3.1 老企第 36 号) →算定基準の解釈通知 | 算定基準内容を補足し、留意事項等を解釈した通知 |
通知 | 介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について →標準様式通知 | ケアプラン等の標準的な例と記載する上の注意事項、課題分析の標準項目などを定めた通知 |
通知 | 「介護保険制度に係る書類事務手続きの見直し」に関するご意見への対応について →見直し通知 | 煩雑で負担となる書類作成や事務手続きへの対応の例などの厚生労働省が示した通知 |
ちなみに法令は法律+政令+省令を指します
上に行くほど法的拘束力が強く、下に行くほど法的拘束力が弱くなります
上部の物を補足するため、下部の細かい規定が定められています
自身の業務にはどのような規定が存在しているのか、ケアマネジャーはその根拠を確認するとともに、法令などを遵守した事業所運営や業務遂行が求められます
運営基準
《基本理念》
①利用者の自立支援②利用者の自己決定③利用者主体④事業者等の連携の促進
省令に①従うべき基準と②参酌すべき基準に分かれいます
①の内容は全国一律ですが、②は地域差がある可能性があります
①従うべき基準(全国一律)
一つ一つの詳細は下記にあります
ア 居宅支援に従事する従業員に係る基準及び員数
従業者の員数(第2条)
管理者(第3条)
内容及び手続の説明及び同意(第4条第1項、第2項)
イ 居宅介護支援の事業の運営に関する事項であって、利用する要介護者のサービスの適切な利用、適切な処遇及び安全の確保並びに秘密保持に密接に関連するもの
提供拒否の禁止(第5条)
指定居宅介護支援具体的取扱方針(第13条第7号、 第9号~第11号、第14号、第16号、第26号)
秘密保持(第23条)
事故発生時の対応(第27条)
②参酌すべき基準(保険者の自由裁量部分)
基本方針(第1条の2)
内容及び手続の説明及び同意(第4条第3項~第7項)
サービス提供困難時の対応(6条)
受給資格等の確認(第7条)
要介護認定の申請に係る援助(第8条)
身分を証する書類の携行(第9条)
利用料等の受領(第10条)
保険給付の請求のための証明書の交付(第11条)
指定居宅介護支援の基本取扱方針(第12条)
指定居宅介護支援の具体的取扱方針(第13条第1号~第6号、第8号、第12号、第13号、第15号、第17号~ 第25号、第27号)
法定代理受領サービスに係る報告(第14条)
利用者に対する居宅サービス計画等の書類の交付・利用者に関する市町村への通知(第15条)
利用者に関する市町村の通知(第16条)
管理者の責務(第17条)
運営規程(第18条)
勤務体制の確保(第19条)
設備及び備品等(第20条)
従業者の健康管理(第21条)
掲示(第22条)広告(第24条)
居宅サービス事業者等からの利益収受の禁止等(第25条)
苦情処理(第26条) 会計の区分(第28条) 記録の整備(第29条)
②参酌すべき基準はローカルルールがある可能性がありますので、条例を確認しましょう
事業所運営のルール(事業所のポイント)
《掲示》(運営基準第22条)
事業所の見やすい場所に、「運営規定の概要」「ケアマネジャーの勤務体制」その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる「重要事項」を掲示しなければならない
利用者のサービスの選択の助けになるよう、利用者の目線に立った入り口から見える位置に掲示をするよ
「重要事項」は利用料や苦情処理の概要など必要な情報のみまとめたものでもOK
「指定通知書」も掲示することが望ましいとされています
この点について、介護サービス事業者の業務負担軽減や利⽤者の利便性の向上を図る観点から、閲覧可能なファイル等で据え置くなどの対応が可能となります。
具体的には、重要事項に関する書⾯を事業所に備え付け、かつ、関係者がいつでも⾃由に閲覧できる状態とすることで、掲⽰の代わりとしてもOKになっています
《事業所》
(設備及び備品等)
第二十条 指定居宅介護支援事業者は、事業を行うために必要な広さの区画を有するとともに、指定居宅介護支援の提供に必要な設備及び備品等を備えなければならない。
・設備に関する基準:事業の運営を行うために必要な広さの専用の区画
・事務室:職員、設備備品が収容できる広さを確保すること。
・相談室:2名以上で利用可能であり、遮へい物の設置等により相談の内容が漏えいしないよう配慮したものであること。
四方がパーテーション等で仕切られているように!
・会議室:4名以上で利用可能であり、遮へい物の設置等によりサービス担当者会議等の内容が漏えいしないよう配慮したものであること。相談室との兼用は可。
・必要な設備/備品: ・居宅介護支援事業を実施するために必要な設備・備品
(例)机・椅子・鍵付き書庫等
実地指導の際には、届け出のレイアウトが現状と同じかも見られます
基準面積などの規定はありませんが、変更した場合は現状に合った「平面図」で届け出を提出する必要があります。変更届は「変更後10日以内」に提出することになっています
勤務体制の確保(運営基準第19条)
①事業所ごとにケアマネジャー等の勤務体制を定めておかなけらばならない
②ケアマネジャーに指定居宅介護支援の業務を担当させなければならない
③ケアマネジャーの資質の向上のために、その研修の機会を確保しなければならない
原則、月ごとの勤務表を作成しましょう。ホワイトボードに予定を書き込むだけでは不十分!
「職員の実績に誤りはないか」、他サービスと兼務している場合は「勤務時間の重複はないか」を実地指導では確認されます
運営規定(運営基準第18条)
①事業の目的及び運営の方針
②職員の職種、員数及び職務内容
③営業日及び営業時間
④指定居宅介護支援の提供方法、内容及び利用料その他費用の額
⑤通常の事業実施地域
⑥その他運営に関する重要事項
事業所ごとに、事業の運営について重要事項に関する規定を定めるよ
苦情処理(運営基準第18条)
①迅速かつ適切な苦情対応
② 受け付けた苦情内容の記録と2年間の保存(←5年の地域もあります)
③市町村への協力 (文書等の提出・提示、市町村職員からの質問や照会への回答、 市町村が行う苦情に関する調査協力) と、市町村からの指導や助言 に従った改善及びその報告
④利用者の国民健康保険団体連合会 (以下、国保連) への苦情申立てのために必要な援助
⑤国保連への調査協力と、 国保連からの指導又は助言に従った改善及びその報告
苦情はサービスの質の向上につながる重要な情報です。 苦情を活かした、サービスの質の向上に向けた取組を自ら行うこと、そして、苦情に組織として迅速かつ適切に対応するために記録の義務を果たしましょう。
記録の整備(運営基準第29条)
①従業者、設備、備品及び会計に関する諸記録の整備
② 利用者に対する指定居宅介護支援の提供に関する記録の整備と2年間の保存
諸記録の整備は事業者 (法人) の義務です。事業所が手狭になり、記録の保管場所を変えたいなどの状況が発生した際には、事業所だけで決定せず、事業者 (法人の責任者)への相談を忘れずに!
現在利用中の利用者に関しては、全期間の記録の保管義務があります
死亡などで契約がなくなってから2年(5年のところも)です
諸記録の保存・交付等について、原則として電磁的な対応が認められ、必ずしも紙媒体で保存する必要がなくなります。
利⽤者の利便性向上や介護サービス事業者の業務負担を軽減する観点から、利⽤者やその家族に対する説明・同意等(※のうち、書⾯で⾏うものについて)相⼿の承諾を得たうえで、電磁的な対応が認められます。
具体的には、ケアプランや重要事項説明書などの説明、同意を得る際に、必ずしも紙の書類を⽤意する必要はなく、タブレットやPC などを使ってデータで提⽰する運⽤も可能となります。
事故発生時の対応(運営基準第27条、第29条)
① 事故発生時の市町村や利用者の家族等への速やかな連絡と必要な措置
② 事故の状況及び事故に際して採った処置の記録と2年間の保存
③ 賠償すべき事故への損害賠償
上記に加え、事故が生じた際にはその原因を解明し、再発生を防ぐための対策を講じることなどにも留意します。
提供拒否の禁止(運営基準第5条)サービス提供困難時の対応(運営基準第6条)
正当な理由なく指定居宅介護支援の提供を拒んではならない(第5条)。利用申込者に自ら適切な指定居宅介護支援を提供することが困難な場合は、他の事業者の紹介その他の必要な措置を講じなければならない (第6条)
介護保険の事業者は、所得の多寡や要介護度等を理由に、利用申込みを断ることは特に禁止されています。
事業所運営のルール(管理者)
居宅介護支援の具体的な方針(運営基準第13条1号)
管理者は、ケアマネジャーに居宅サービス計画の作成に関する業務を担当させるものとする
ケアマネジャーにケアプラン作成の業務を指示するのは、管理者の義務・役割です。担当ケアマネジャーが、十分なケアマネジメントができるよう、指導・助言を行います。
居宅サービス事業者などからの利益収受の禁止(運営基準第25条1項)
事業者および管理者は、ケアマネジャーに対し、ケアプランに特定の事業者等によるサービスを位置づけるべき旨の指示等を行ってはならない
管理者とケアマネジャーの双方に、公正中立な役割を担うための義務が課せられています
管理者の配置(運営基準第3条)
事業所ごとにケアマネジャーである常勤専従の管理者を置かなければならない
常勤専従が原則ですが、①管理する事業所でケアマネジャーの職務に従事する場合 ② 同一敷地内の他事業所の職務に従事する場合は、兼務も可能です
常勤:当該事業所における勤務時間が、当該事業所において定められて
いる常勤の従業者が勤務すべき時間(32時間を下回る場合は32時間を基本)
に達していることをいいます
専ら従事する(専従):原則として当該事業における勤務時間を通じて当該事業
以外の職務に従事しないことをいいます
管理者の責務(運営基準第17条)
① ケアマネジャー等の管理、利用申込みの調整、業務実施状況の把握など
②事業所のケアマネジャー等に規定を遵守させるために必要な指揮命令
運営基準第17条は、管理者として基本となる条文です。 忘れずに確認しましょう。
従事者の健康管理(運営基準第21条)
事業者は、ケアマネジャーの清潔の保持及び健康状態について、必要な管理を行わなければならない
管理者はもちろん、一人ひとりのケアマネジャーも、利用者の健康を守るため、日ごろから自身の体調管理にも努めましょう。
事業所運営のルール(ケアマネジャー)
ケアマネジャーの定義(法第7条第5項)
①要介護者等からの相談に応じ、要介護者等が状況に応じた適切なサービス等を利用できるよう市町村等との連絡調整等を行う者
②要介護者等の自立支援のために必要な専門的知識及び技術を有するものとして介護支援専門員証の交付を受けたもの
5年ごとの資格更新については、平成28年度以降、研修時間の延長や持参書類 (事例など) の見直しがなされます。主催者から出される情報に注意しましょう。
ケアマネジャーの義務(法第6条の34法施行規則第113条の39、運営基準第12条)
①要介護者等の人格を尊重し、常に当該要介護者等の立場に立って、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない
②ケアマネジメントは、要介護状態の軽減又は悪化の防止に資するよう、医療サービスとの連携に十分配慮して行わなければならない
③自らケアマネジメントの質の評価を行い、常にその改善を図らなければならない
④要介護者等の自立支援のために必要な専門的知識及び技術の水準を向上させ、資質の向上を図るよう努めなければならない
④資質の向上に努めていることがわかるよう、研修履歴の管理は確実に行いましょう。
身分証(運営基準第9条)
身分を証する書類 (介護支援専門員証)を携行し、初回訪問時及び利用者又はその家族から求められたときはこれを提示する
名刺や所属の名札等ではなく、 介護支援専門員証の携行を忘れずに!
秘密保持 (運営基準第23条第1項、第2項)
①ケアマネジャー等は正当な理由がなく、業務上知り得た利用者等の秘密を漏らしてはならない
② 事業者は、ケアマネジャー等であった者が、正当な理由がなく、その業務上知り得た利用者等の秘密を漏らすことのないよう、必要な措置を講じなければならない
勤務中の従業者はもちろん、 退職後も秘密を漏らすことのないよう、職員への守秘義務契約の締結が必要!
ケアマネジャーの人数 (運営基準第2条)
①事業所ごとに1以上の常勤のケアマネジャーを置かねばならない
② ケアマネジャーの基準は、利用者の数が35又はその端数を増すごとに1とする
運営基準で示されている 「利用者の数 (人)」 と算定基準の「件」の違いに注意しましょう。 事業所を運営するために必要な人員は、居宅要介護者35人につき1人のケアマネジャーが基準となります。「件」 とは、給付管理票の枚数です。 39件までは居宅介護支援費(Ⅰ) で算定できます。
一定のICT活用や事務職員を配置する場合、逓減制の適用が40件から45件へ緩和した居宅介護支援費(Ⅱ)を算定する。44件まで通常の単価で請求できる居宅介護支援費(Ⅱ)が創設されました!
ICTとは、業務の負担軽減や効率化に繋がるものとして、事業所内外や利用者の情報を共有できるチャット機能のアプリケーションを備えたスマートフォン訪問記録を随時記載できる機能(音声入力も可)のソフトウエアを組み込んだタブレットなど――が例示され、このほかAIも対象に含まれます
ICTを活用する場合は、届出書の提出が必要。その際、「利用者の情報共有を即時かつ同時に可能とする機能や関係者との日程調整機能を有しているもの」「ケアプラン等の情報をいつでも記録、閲覧できる機能を有しているもの」といった例を踏まえ、自治体により「個々の状況等に応じて個別具体的に判断される」とされています。
事務職員は、ケアマネジャー1人(常勤換算)あたり、ひと月24時間以上の勤務が必要。勤務形態は非常勤でも可。事業所内に限らず、同一法人内の配置(法人内の総務部門に配置、併設の訪問介護事業所に配置など)でも認められます。
居宅サービス事業者等からの利益収受の禁止等(運営基準第25条第2項)
利用者に対し、特定の事業者等によるサービスを利用すべき旨の指示等を行ってはならない
利用者の自己決定を支援し、公正中立な業務の遂行を心がけましょう。
業務継続計画の策定等(居宅介護⽀援基準第⼗九条の⼆(新設))
感染症や災害が発⽣した場合であっても、利⽤者に必要なサービスが安定的・継続的に提供される体制を構築することが、次期改定の柱の1 つです。これを踏まえ、業務継続に向けた以下の3 点が運営基準で義務化されます。
● 業務継続に向けた計画(業務継続計画・BCP )を策定し、感染症や⾮常災害発⽣時には計画に従って必要な措置を講じること
● 業務継続計画を職員に周知するとともに、必要な研修や訓練を定期的に実施すること
● 定期的に業務継続計画の⾒直しを実施し、必要に応じて計画内容の変更を⾏うこと
上記の運営基準の改正に際し、省令施⾏⽇から2024 年3 ⽉31 ⽇まで、3 年間の経過措置期間を設けるとしています。
感染症の予防及びまん延の防⽌のための措置
(居宅介護⽀援基準第⼆⼗⼀条の⼆(新設))
介護サービス事業者の感染症対策を強化する観点から、以下3 点の対策が義務化され
ます。
● 感染症の予防・まん延の防⽌のための対策を検討する委員会をおおむね6 ⽉に1 回以上開催すること。その結果について、職員等に周知徹底を図ること。(委員会は
テレビ電話など情報通信機器を活⽤して⾏うことができる)
● 事業所における感染症の予防・まん延の防⽌のための指針を整備すること
● 職員等に対し、感染症の予防・まん延の防⽌のための研修・訓練を定期的に実施すること
なお、経過措置期間は省令施⾏⽇から2024年3⽉31⽇までの3年間が設けられます。
⾼齢者虐待防⽌の推進
(居宅介護⽀援基準第⼆⼗七条の⼆(新設))
介護福祉現場で問題となっている⾼齢者への虐待に関して、利⽤者の⼈権の擁護や虐待の防⽌等の観点から、以下の4点が義務付けられます。
● 虐待防⽌のための対策を検討する委員会を定期的に開催するとともに、その結果について、職員に周知徹底を図ること。(委員会はテレビ電話など情報通信機器を活⽤して⾏うことができる)
● 事業所における虐待防⽌のための指針を整備すること
● 職員等に対し、虐待防⽌のための研修を定期的に実施すること
● 上記の虐待防⽌に関する措置を適切に実施するための担当者を置くこと
虐待防⽌に関する運営基準の改正に際し、省令施⾏⽇から2024 年3 ⽉31 ⽇まで、3 年間の経過措置期間が設けられます。
事業所運営のルール(書類:アセスメント)
①契約の締結(運営基準第4条)
指定居宅介護支援の提供の開始に際し、あらかじめ、利用申込者又はその家族に対し、重要事項を記した文書を交付して説明を行い、当該提供の開始について利用申込者の同意を得なければならない
介護保険法でいうところの契約は「重要事項説明書」で行うことを指しています
②適切な方法での実施(運営基準第13条第6号、 標準様式通知別紙4 )
居宅サービス計画の作成に当たっては、適切な方法により、利用者の有する能力、置かれている環境等の評価を通じて利用者が現に抱える問題点を明らかにし、利用者が自立した日常生活を営むことができるように支援する上で解決すべき課題を把握しなければならない
ちなみに「適切な方法」とは課題分析の際に下記の項目をすべて満たすことが必要です
- 基本情報に関する項目
①基本情報 (受付、利用者等基本情報) ②生活状況③利用者の被保険者情報④現在利用しているサービスの状況⑤障害高齢者の日常生活自立度 ⑥認知症のある高齢者の日常生活自立度⑦主訴⑧認定情報⑨課題分析 (アセスメント) 理由
- 課題分析に関する項目
⑩健康様態⑪ADL ⑫IADL能力⑬認知 ⑭コミュニケーション能力⑮社会との関わり⑯排尿・排便⑰じょく瘡・皮膚の問題 ⑱口腔衛生 ⑲食事摂取⑳問題行動㉑介護力㉒居住環境㉓特別な状況
実地指導では、アセスメント結果とケアプランの妥当性を見られます
特に限度額いっぱいまでサービス利用している人を重点的に「過剰なサービスになっていないか」「なぜ、多くのサービスが必要なのか」をチェックされます
ケアマネジメント業務を行ったにも関わらず、利用者の死亡によりサービス利用に至らなかった場合の居宅介護支援費の算定が認めらるようになりました。利用者要件は、「病院・診療所、施設から退院・退所する者等で、医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した利用者」。これに加え、事業所が「モニタリング等の必要なケアマネジメントを行い、給付管理票の作成など、請求にあたって必要な書類の整備を行っていること」「居宅介護支援費を算定した旨を適切に説明できるよう、個々のケアプラン等において記録で残し、それらの書類等を管理しておくこと」が要件として求められます。
請求方法は、「ケアプランで当初予定されていたサービス事業所名、サービス種類名を記載し、給付計画単位数を0単位とした給付管理票と居宅介護支援介護給付費明細書を併せて提出」
③利用者の居宅訪問と本人面接(運営基準第13条第7号)
アセスメントに当たっては、利用者の居宅を訪問し、利用者及びその家族に面接して行わなければならない。(利用者が入院中であることなど物理的な理由がある場合を除く)
これをしないと減算対象です!!!
アセスメントの実施日・実施場所・被面接者を必ず記載しましょう
居宅を訪問できなかった場合はかならず、「訪問できなかった物理的な理由を記載しましょう」
たとえ退職した前任者の記録の不備であっても、管理責任は事業所にあり、管理者の責務になります
「居宅介護支援スケジュール管理台帳」を活用し、有効期限・短期目標期限等、月ごとに把握する情報が管理できます
事業所運営のルール(書類:プランニング)
①ケアプランに定める事項 (法第8条第23項、法施行規則第18条)
・利用する指定居宅サービス等の種類及び内容、これを担当する者
・当該居宅要介護者及びその家族の生活に対する意向
・当該居宅要介護者の総合的な援助の方 針並びに健康上及び生活上の問題点及び解決すべき課題、 提供される指定居宅サービス等の目標及びその達成時期
・指定居宅サービス等が提供される日時
・指定居宅サービス等を提供する上での留意事項
・指定居宅サービス等の提供を受けるために居宅要介護者が負担しなければならない費用の額
上記項目が満たされていれば、事業所独自でケアプラン様式を作成することができる
②「ケアプラン」と呼ばれる帳票
当該説明及び同意を要する居宅サービス計画原案とは、いわゆる居宅サービス計画書の第1表から第3表まで、第6表及び第7表に相当するものすべてを指すものである。
ケアプラン原案に利用者の同意を受けたものがケアプランとなるため、ケアプラン原案 ケアプランは同一の帳票を指します。
また、「ケアプラン等」とは、ケアプランと呼ばない帳票 (第4表、第5表)をも含めた 標準様式(第1表~第7表) を指します。
③ケアプランの説明・同意と交付 (運営基準第13条第10号、第11号)減算対象!
担当者への交付については、個人情報を適切に取り扱っていることを示すために、交付した事実を残すように工夫します。担当者へ交付した際には、支援経過に、日時、相手先、交付方法 (持参、ファクシミリ、サービス担当者会議で直接渡す) について記載を残したり、ファクシミリの送信の場合は、送信票の最後に受信確認欄を作り、相手が受け取ったことを確認するなどしましょう
④個別サービス計画書の要請 (運営基準第13条第12号)
介護支援専門員は、居宅サービス計画に位置付けた指定居宅サービス事業者等に対して、 訪問介護計画等指定居宅サービス等基準において位置付けられている計画の提出を求めるものとする。
ちなみに介護サービス側は「指定居宅介護支援事業者から訪問介護計画の提供の求めがあった際には、 当該訪問介護計画を提供することに協力するよう努めるものとする」と努力義務であるため、ケアマネ側から求めていく必要性があります
実地指導で「本当は書類があるのに、整理ができていないために提示できない」ということは避けたい!!!
事業所運営のルール(書類:サービス担当者会議)
初回訪問時の会議を「担当者会議」とすることはNGと実地指導で指摘を受けました。。。
①利用者からの個人情報使用の同意 (運営基準第23条第3項)
サービス担当者会議等において、利用者の個人情報を用いる場合は利用者の同意を、利用者の家族の個人情報を用いる場合は当該家族の同意を、あらかじめ文書により得ておかなければならない。
本人の同意はもらっていても、家族の同意を取り忘れているケースも!
この同意は個々の案件ごとではなく、包括的なものでよいとされています。
②ケアプランの新規作成・修正時 (運営基準第13条第9号、第16号)
更新認定・認定区分の 変更時の開催(運営基準第13条第15号)
やむを得ない理由がない限りサービス 下記のタイミングで担当者会議を開催します
①ケアプランの新規作成時 ② ケアプランの修正時③更新認定時④認定区分の変更時
しかし、急な認定区分の変更時等には、担当者を集めることが不可能な場合もあります。 このような場合は、やむを得ない理由でサービス担当者会議が開催できなかったことが わかるよう支援経過に残します。
“やむを得ない理由”とは?
○開催の日程調整を行ったがサービス担当者の事由によりサービス担当者会議
への出席が得られなかった場合
○居宅サービス計画の変更であって、利用者の状態に大きな変化がみられない
等、軽微な変更の場合等(介護保険最新情報 vol155 平成22年7月30日参照)
利用者主体の制度ですが、サービス担当者会議における《やむを得ない理由》は、本人・家族の都合ではなく、サービス担当者側の理由であるようです
③福祉用具貸与をケアプランに位置づける際の開催(運営基準第13条第22号)
福祉用具貸与を位置付ける場合にあっては、その利用の妥当性を検討し、当該計画に福祉用具貸与が必要な理由を記載するとともに、必要に応じて随時サービス担当者会議を開催し、継続して福祉用具貸与を受ける必要性について検証をした上で、継続して福祉用具貸与を受ける必要がある場合にはその理由を居宅サービス計画に記載しなければならない
第22号は、 運営基準減算に該当しないことなどから、サービス担当者会議の開催にお いて 法令を最も意識しにくいといわれています。意識して開催しましょう。
サービス担当者会議の記録なので、 参加者からの専門的な意見が記載されていなければ、意味がありません。ケアプランは妥当なのか、経過を見るべき事項はないのか等、 専門的な見地からの意見の提示と記録が必要です。
事業所運営のルール(書類:モニタリング)
①モニタリングの定義 (運営基準第13条第13号)減算対象!
居宅サービス計画の作成後、居宅サービス計画の実施状況の把握(利用者についての的なアセスメントを含む。)を行い、必要に応じて居宅サービス計画の変更、指定居宅サービス事業者等との連絡調整その他の便宜の提供を行うものとする
モニタリングとは、ケアプラン作成後に行うケアプランの実行状況の確認を意味します。 このため、ケアプランが動き出していない 初回のサービス担当者会議を 「モニタリン グ」とすることはできません。月の途中の担当交代などで、アセスメントやサービス担当 者会議を短期間で実施しなければならない場合は注意しましょう。
反対に、2回目以降のサービス担当者会議の場合で、より効果的なケア提供が図れる場合には、現行のケアプランをモニタリングし、新たに作成したケアプラン原案をサービス担当者会議で検討するなど、2つのケアマネジメント過程を同時に実施することが可能な場合もあります
②モニタリングの実施状況 (運営基準第13条第14号)減算対象です!!!
モニタリングは特段の事情のない限り、必ず行わなければなりません
イ 少なくとも1月に1回、利用者の居宅を訪問し、利用者に面接すること。 少なくとも1月に1回、モニタリングの結果を記録すること
ロ ここでいう 「特段の事情」には、ケアマネジャーや事業所の事情は含まないことに注意し、特段の事情で実施できなかった場合は、その事情が誰の目から見ても明らかになるように記録に残します
また、「少なくとも1月に1回」と示されているとおり、モニタリングは1カ月に1回実施すればよいわけではなく、1月(月の途中から始まっても月末までで1月) に1回以上実施する義務があります
特段の事情がない限り、その月から当該状態が解消されるに至った月の前月まで減算になります
③モニタリングの記録・評価
モニタリングを通じて把握した、利用者やその家族の意向・満足度等、目標の達成度、事業者との調整内容、居宅サービス計画の変更の必要性等について記載する。
網羅できているかな???
事業所運営のルール(書類:報酬関連加算関連)
介護報酬各加算関連:算定要件を満たしていることが確認できる資料や記録があるか
介護報酬の加算は、その算定要件を満たして初めて請求できるものです。 加算請求をし ている事業所は、その算定要件の根拠となる資料等を保管する必要があり、その内容を確認されます
・初回加算:居宅サービス計画書を作成した日付の記録
・入院時情報連携加算、退院・退所加算:入院・退院の日時および情報連携の内容や先 方担当者名の記録、情報提供 (面談) 日時
・特定事業所加算:専用の管理様式 「居宅介護支援における特定 事業所加算に係る基準の遵守状況に関する記録 (保存用) [標準様式〕」が定められており、 毎月、作成し要件を満たしていること
事業所運営のルール(書類:入院時情報連携加算)
この加算は、利用者の入院に際し、病院または診療所(以下、医療機関の職員に対して「必要な情報」を 提供した場合に、月1回に限り算定することができます
[必要な情報]
●当該利用者の心身の状況(疾患・病歴、認知症の 有無や等の行動の有無など)
●生活環境(家族構成、生活歴、介護者の介護方法や家族介護者の状況など)
●サービスの利用状況
また、当該加算を算定する際には、以下の項目が漏れないように記載します。
[算定の際の留意事項 (記録)]
- 情報提供を行った日時
- 場所(医療機関へ出向いた場合)
- 内容
- 提供手段 (面談、 FAX等)
提供 「日時」ですから、提供した時間の記載が必要です。 入院時情報連携シートのみでは「記載日」はありますが、「提供日時」の漏れや、提供場所・ 手段の漏れのリスクあり
支援経過記録と両方を残すことで算定に必要なルールを残します
減算対象になった場合
運営基準減算
・所定単位数の50/100に減算
・運営基準減算が2月以上継続している場合は、所定単位数は算定しない
○減算要件
(1)居宅サービス計画の新規作成及びその変更に当たっては、次の場合に減算されるものであること。
① 当該事業所の介護支援専門員が、利用者の居宅を訪問し、利用者及びその家族に面接していない場合には、当該居宅サービス計画に係る月(以下「当該月」という。)から当該状態が解消されるに至った月の前月まで減算する。
② 当該事業所の介護支援専門員が、サービス担当者会議の開催等行っていない場合(やむを得ない事情がある場合を除く。以
下同じ。)には、当該月から当該状態が解消されるに至った月の前月まで減算する。
③ 当該事業所の介護支援専門員が、居宅サービス計画の原案の内容について利用者又はその家族に対して説明し、文書により利用者の同意を得た上で、居宅サービス計画を利用者及び担当者に交付していない場合には、当該月から当該状態が解消され
るに至った月の前月まで減算される。
(2)次に掲げる場合においては、当該事業所の介護支援専門員が、サービス担当者会議等行っていないときには、当該月から当該状態が解消されるに至った月の前月まで減算する。
① 居宅サービス計画を新規に作成した場合
② 要介護認定を受けている利用者が要介護更新認定を受けた場合
③ 要介護認定を受けている利用者が要介護状態区分の変更の認定を受けた場合
(3)居宅サービス計画作成後、居宅サービス計画の実施状況の把握(以下「モニタリング」という。)に当たっては、次の場合に減算されるものであること。
① 当該事業所の介護支援専門員が1月に利用者の居宅を訪問し、利用者に面接していない場合には、特段の事情のない限り、その月から当該状態が解消されるに至った月の前月まで減算する。
② 当該事業所の介護支援専門員がモニタリングの結果を記録していない状態が1月以上継続している場合には、特段の事情がない限り、その月から当該状態が解消されるに至った月の前月まで減算する。
(4)居宅介護支援の提供開始の際、利用者にあらかじめ「複数のサービス事業者等を紹介できること」、「居宅サービス計画に位置付けたサービス事業者等の選定理由」、「前6月間の居宅サービス計画における訪問介護や通所介護等のサービスが位置付けられたそれぞれのサービスの割合」、「前6月間の居宅サービス計画における訪問介護や通所介護等の回数のうち、同一のサービス事業者によって提供されている割合」について文書を交付して説明を行っていない場合。
新入職員さん向けの法令順守のスライド
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まとめ
運営基準について、まとめてみました
上記の内容は絶対やらないと減算です
どんなに多忙であっても、確実に押さえる必要があります
いつも当たり前に行っている業務が運営基準に該当すると分かって仕事をするとなんだか、できるケアマネになった感じがしますね!
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