
こんにちは!おハムです
最近はACPが話題に上がることが増えています
ACPを勘違いしている人が多いのではないか?
なぜこんなに同じ質問をされるのか?疑問に思い考えてみました
(個人情報保護のため、内容は少し変えてあります)
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とは
将来の変化に備え、将来の医療及びケアについて、患者さんを主体に、その家族や近しい人、医療・ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、患者さんの意思決定を支援するプロセスのこと
登場人物
ねたきり 85歳 るい痩あり 要介護3
基礎疾患なし 便秘がたまにある
35年前から、6本入りのスティックパンを1食2本程度食べる
水分はポカリスエット500ml、牛乳300ml
他のものは一切食べない
病院が嫌いでずっと行っていない
自分が歩きたいときは、ふっと歩いて移動できる
畑仕事が趣味 84歳
おむつ交換して、3食食事をくれてやるだよ
「手はかからん」という日と、「大変だよー」という日があり、訪問ごとに言うことが違う
仕事もあり家庭もあり、自身の親の介護もあり多忙
ショートステイのない、隔週で1回訪問看護で介入している
4週以上前:来所
今後どうしていくか考えたほうがいいですよね?
半年前から、Aさんは「病院に行きたくない」「ここで死にたい」と明言されている。奥さんは「大変だよー。どこか引き取ってくれんか」という日あれば、「手がかからんでこのままでいいよ」という日もある。奥さんの気持ちは揺れていて、とてもすぐには決められそうもありません
家族が特に病状の変化がないから受診していますが、その医師に受診に来れなくなった際の往診もすでにお願いしていますよ?
いや…そうなんだけど、決めたほうがいいと思って…
?????
奥さんが悩んでいるから、それをはっきりさせてほしいということなのかな?
ACPはプロセスのことだから、ゆっくり考えをまとめていけるように支援することじゃないのかな?
…というやりとりを、数ヶ月繰り返している。。。
4週間前:電話
昨日のショートステイの利用の際に、車椅子から立ち上がって1人で歩いてしまい、転倒してしまいました
頭部をぶつけて出血していたため、すぐに救急搬送しました
御家族に確認したら、検査の結果は異常なく、出血した部分を2針縫って帰宅されました
そもそも、食事の量も少ないし、脱水のせいか頻脈もありますし、急にひとりで動いてしまうし、いつ何が起こってもおかしくない状態なのでご了承ください
いつもありがとうございます
御家族も、いつ何が起こってもおかしくない状況を納得されてショートステイを依頼しております
3週前:自宅訪問
(定期訪問の際に)
施設に入ったほうがいいのかねぇ。どうしていいのかわからない
家がいいなぁ!どこにも行きたくない!点滴なんかしたくない!
「施設」と「自宅」のメリット・デメリットについて説明する
本人はこう言うけど、大変なのはこっちなんだから!
だけど、お金が高くて入れない。何年も生きそうだから…。
転んでから前よりも食べる量は少なくなってはいる
もし負担が大きいのであれば、ショートステイの利用を増やすことも方法かもしれません。(ショートステイが受け入れてくれれば…)
翌日、お嫁さんより電話ありショートステイの1日延長を希望され、ショートステイも対応してくださることになった
2週間前:来所
明らかに悪くなっています!
食事量も減っていて、体重も減っています!
医師に往診してもらうように依頼します
ありがとうございます
1週間前:電話
今回の利用の時に食事量がさらに減っています
ウチのショートステイでは看取り加算をとっていないので、血圧が80mmHg以下、食事が食べられなくなったら、御家族を呼んで迎えに来てもらうように約束させていただきました
今後について、どう考えているのか検討してほしいです
御本人の気持ちはずっと変わらず、自宅で過ごし病院には行きたくないと考えられています。奥さんは話すことがいつも違っていて、混乱もしやすいので、時間をかけて考えをまとめていけるように働きかけています。
現状は経済的理由で自宅での看取り方向で考えています。お嫁さんもご夫婦の考えを支持されています
主治医の先生はどう考えていますか?確認にしてほしいです
こんなに食べていない状態で本当に良いのか心配です
本日:初往診日
主治医の往診日に合わせて訪問し同席する
(本人・妻・嫁の意向を確認後)
積極的な治療は希望されないということですね
ご希望されるのであれば、看取りまで支援します
食事や水分が取れなくなっても、何もせずに自然な形で過ごしたいということでよろしいですね
はい。よろしくおねがいします
基本は自宅で看取り。怪我や苦痛を伴う緊急時などは救急搬送する可能性も了承される
翌日:往診の結果を報告する
自宅での看取りで、胃ろうとかも希望されないということですね!
ありがとうございます
食べなくても、飲めなくてもそのままでいいのですね
ありがとうございました
ただ、看取りでは出来ないので、血圧低下時・食事の摂取出来ないときは家族に迎えに来てもらいますので!
まとめ
往診に付き添った結果で納得してくれた、訪問看護師とショートステイ職員。
医師を含め話し合った内容は、半年前から本人・家族の希望していたものと何も変わっていません
主治医は、本人・家族の意向を尊重してくれることほとんどで、今回は特に本人の意向が明確な状態
妻は混乱しているが、施設入所は経済的に負担が大きく、「そんなに払うのであれば自分でパンを食べさせて、おむつを変えたい」と最終的には考えることがほとんどでした
訪問看護師もショートステイの看護師も「主治医が本当にそれでいいと言っているのか」を確認したかったようです
看護師という仕事柄のせいか、「医師の考え」に重きをおいてしまう、「医師の考え」を中心に看取りを考えているという事がわかりました
チーム全体が安心してAさんの生活を支えるためには、「医師の考えの確認」が重要なんだ感じました
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