
こんにちは!おハムです
介護負担が大きくなったり、入院を期に老健に要介護1以上の人が入れる老健に入所を検討されるでしょう
しかし、老健は在宅復帰施設!再び退所しなくてはなりません
いくら入所時に話を聞いていても「追い出される感」はありますよね
「家で介護できないから入ったのに…」
いったい、どうすればいいのでしょうか???
登場人物
要介護5のAさん。下半身は麻痺でまったく動かない、膀胱直腸障害にて膀胱留置カテーテル(バルーンカテーテル)が入っている
多少の物忘れはあるが、認知症ではない。体格が大きく、妻は小柄
移乗は2人での介助が必要
家族に迷惑かけるでココ(老健)のままでいい
2人暮らしだし見れないと思う
ただ老健が1回自宅に帰るように言うもんで
息子
まぁ。入所の時からそういう話だったから…。自分も協力するし。
いつかは自宅に戻らせてあげたい
入所から3ヶ月しました。ちょうど、前医の受診もありますので、受診もかねて一時退所していただくことになりました
1ヶ月位デイサービスなどの介護サービスを使って自宅で過ごし、ご希望であればその後は老健で受け入れます
病気になってからはじめての自宅に戻る機会になった
新規で居宅のプランを作るように依頼を受けました
退所後どうしていくか?
《老健の退所を勧められた際の選択肢》:【】内は当地域の1割負担の方の相場(地域区分その他)
①自宅で介護サービスを利用し暮らす【月5万円前後】
②老健で入退所をくりかえす【月15万くらい】
③有料老人ホーム・サービス付き高齢者住宅などの介護付きの施設を探す【月20万以上】
④認知症の診断がつけばグループホームに入所【月18万くらい】
⑤小規模多機能居宅介護(泊まる・通い・訪問)を利用する(場所によってはずっと泊まりができるところもある)【ずっと泊まり:月14万くらい】
⑥(要介護3~5の方のみ)特別養護老人ホーム入所【月13万くらい】
父にはいずれ自宅に帰ってきてほしいと思っているんです
リハビリしないともっと動けなくなってしまいます
自分も協力しますので大丈夫です
息子がこう言うのでやってみます
今回は、「一時退所してみて自分たちが介護ができるのか試してみる」という形で、実際に帰ってみて今後の事を考えていきたいとのことでした
課題①妻と2人暮らしなのに、移乗に2人介助
本人は体格がよく、妻は小柄で介護経験がない
ベッドで寝たきりならいいけど…車椅子には移動できない
介護指導を行っていますが、本人も御家族も怖がってしまって上手にできません
これらを提案してみたのですが…恐怖感が強いことと、
短期間の退所であるため希望されません
短期間なので割り切って、移乗は全てサービスでまかなう方向で行きましょう
退所・入所は介護タクシーで自費の移乗介助を依頼、ショートステイの送迎の際は職員が退所後訪問を兼ねて迎えに行き移乗してくれるとのこと(老健側が一時退所して戻ってきてほしいため)
膀胱留置カテーテルも挿入中であるため、引っ張ってしまうのも怖いですし…
ただ、緊急時には妻と息子さんの2人で移乗できるように訓練は続けてもらう
でも基本はベッドでの生活を中心にして介護を考えていくことにしました
課題②:褥瘡予防
老健では、2時間毎に体の向きを変えています
自宅でも床ずれ予防のため2時間毎に体位交換してください
・・・・・・
福祉用具でなんとかしましょう
《体位交換》:自動体位交換機能の付きマトレス
課題③:介護負担の軽減
1ヶ月くらい退所していただければ、再入所可能です
1ヶ月もですか。。。
自分もそんなに休みは取れないし、母だけで見ることは…不安です
要介護5なので退所期間は2週間で退所扱いになりませんか?
退所中はショートステイの利用は可能でしょうか?
…出来なくはないのです
はじめての自宅への退所なので初級編にさせてもらって、まずは最小限の家族負担になるように最大限ショートステイを利用し、段階的にあげていってはどうでしょう?
では、息子さんの休みの休日は自宅、平日はショートステイを利用するようにしましょう
それならなんとか出来そうです
課題④:膀胱留置カテーテルの詰まりやすさ
実は…おしっこの管が、3週間に1回くらい詰まるため、退所中に詰まってしまうかもしれない…
詰まったら、どうしよう…
地域の訪問看護さんは男性のカテーテル交換を自宅で行ってくれません
詰まっているかの確認は必要で、詰まった場合は受診して交換して貰う必要があります
退所直前に交換してから、退所するようにしましょう
おむつ交換と一緒に、おしっこのバックの尿破棄の方法や量の確認の仕方も合わせて指導します
水分もしっかりとってくださいね!
短期間の退所を終えて…
孫や家族にあえて嬉しかった
夫も嬉しそうだし、私もうれしかった
お尻がちょっと赤くなっちゃったけど、老健で治してくれるって言ってくれた
みんな負担が大きすぎず、過ごせたのが良かった
また次の受診のときは、同じように自宅で過ごしたい
Aさんはその後も3回入退所を繰り返しています
老健の入所・退所の繰り返しが、Aさん・御家族にとって、
ちょうどよい距離感であったようです
まとめ
《老健の入退所の繰り返しのメリット》
・安心して退所し、自宅で過ごせるように十分な準備ができること
1)介護指導を受けられる:移乗動作・おむつ交換・カテーテル管理など
2)居宅のケアマネジャーが担当し、自宅退所時に介護サービスを利用できる:福祉用具レンタルやデイサービス・訪問サービス・ショートステイを利用できる
3)面会が出来ない状況で家族に会える
通常、施設に入所してから自宅に外出・外泊する際は…
・福祉用具のレンタルが自費:10割負担で高額
・何の準備もなく自宅に帰るため不安だし、当日困ることが出てくる
今回Aさんが体験した入所・退所の繰り返しは老健の特権です!
自宅での介護が大変であっても、年の半分を施設に入所できたら自宅での介護も可能な方もいます
施設入所を目指している人、すでに入所された人の中にも、入所・退所の繰り返しがピッタリの方が一定数います
在宅介護・施設介護の中間として、老健の入所・退所の繰り返しも選択肢の一つになりえると思います
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