こんにちは!おハムです
このページでは、現役の看護師ケアマネ目線で色々な方の介護生活や経過について紹介します
いざというときに使えるサービスを知ることで今後への不安を減らし、人に言われるがまま決めるのではなく御自分や御家族らしい、いい老後を迎えてほしい
そう願っております
登場人物紹介
要介護1のAさん90歳、夫、長女の3人暮らし
とんしゃんてん。A子はかわいいよ
・「認知症」とは診断されていないが明らかな認知症状みられる
・短時間で同じことを何度も聞く、他者に対しては非常に愛想がいいが、夫に対しては非常に強く怒る
・幻視幻聴などの幻覚が見えている、鏡に映る自分に対して罵声を上げる
・杖歩行は屋内は自立。トイレの際に座りが浅くて失敗が多いため必ず見守り声掛けが必要
無口
・耳が遠いが、長女さんの不在時は夫が一人で介護している
・競艇が好きで本人の不在の際には電車で競艇場に行っている
・同居の長女さん。子供は2人ともすでに結婚し隣市に住んでいる
・長女さんは・夫を近年病気でなくされている。非常に明るく元気。一家の大黒柱として常勤で働き家事と介護を担う
介護サービス
前任者から引き継いだため、すでにデイケア(通所リハビリテーション)に週4回利用されていました
すでに3年以上通っている、なじみのデイケアをにこにこしながら利用していました
しかし、Aさんが夫に対して強く当たるようになってきました
夫は難聴のためうまく聞き取れず、本人の声や夫の声がだんだん大きくなっていき、口調もきつくなっていくため喧嘩になってしまうのです
そのため、もう1日サービスを追加してほしいと依頼すると、現在利用しているデイケアは定員いっぱいで受け入れできませんでした
やむを得ず、近所の他のデイサービスを併用することにしました
しかし、送迎の車がいつもと違うことに気が付き…
行かなきゃいかんの?
夫が行くように促すと、植え込みの葉っぱをちぎり夫の投げつける!
ちょうどそのころに、長女さんの夫が体調を崩し、ショートステイ(泊まりサービス)の利用も開始したため、ずっと通っているデイケア以外の送迎車に対する嫌悪感が強くなりました
慣れるまでは…と数ヶ月利用していたのですが、夫の送り出しの負担のほうが大きくなり利用を中止しました
すごく怒って送り出すよりも、小さく怒って1日過ごされるほうが負担が少ない
家族の自宅介護の工夫
《Aさんの自宅での困りごと》
①鏡などの写った自分に怒鳴りまくる
とにかく、自分が写らないようにすべての鏡を布で覆い、すべての窓にカーテンを覆いました
それでも、カーテンを開けてしまうことがあります。その際には…
また、あんたか!!!!
何しに来た!!!
本当に嫌なやつだね!
どっかいけー!!!
…という、Aさんの横で…
本当に怒れるー!!!!
うるさいなぁ!!!
どっか行けーーー!!!!
…と、自身のストレス発散するという面白い発想!長女さん自身もスッキリするし、Aさんも長女が味方についてくれたという安心感!素晴らしい対応でした
②夜間の排尿回数が多く、杖を大きな音でドンドンついてトイレに行くためうるさくて何回も起こされてしまう
毎晩、何回も合間なしにトイレに行くのですが、杖の音がうるさくて困っているんです
実はAさん、糖尿病があるため水分を飲む量が非常に多いのです!
寝る前にもすごく多く飲むので…夜間の排尿の量が多いはずですよね
夕食後には、家の中のありとあらゆるコップを隠して、飲水量を管理する
1時間から30分おきにトイレに行っていたけど、2時間くらいあくようになりました
突然の転倒
突然の転倒。救急搬送され、大腿骨頸部骨折。90歳と高齢ではありますが、手術を勧められる
手術して、リハビリしたらそこそこ動けるようになるけど車椅子の生活になる
自宅での生活は難しくなります
退院後の生活について考えておいてください
先生がそういうのであれば…
…と、手術→リハビリ→施設入所をすすめることに。Aさん夫婦には年金はあるが貯金はない…。
手術したら動けなくなるから、区分変更申請をして特别養護老人ホームに行きたいです
病院の相談員さんとも相談し、区分変更申請して市内の特別養護老人ホームに申し込みを済ませる
入院・手術後しばらくしてから…
長女さんより連絡あり
入院して、退院までに入所できる施設に申し込んだんだけど…相談があって…
申し込んだ施設では、自宅から遠くて父(Aさんの夫)が自分で歩いて面会に来ることが出来ない
父(Aさんの夫)はAさんの介護を生きがいにしているから今は申し込んだ施設に入所して、いづれは近所の施設に移動したい
特養に入れるだけ、とてもラッキーな状態だったので少し驚きましたが、退院後に入れる特養、近所の特養にそれぞれ相談し可能であると了承をいただき、入所の申し込みをすることにしました
退院
いってきます!!
と、笑顔で施設入所されるAさん
いつまで待つかわかりませんが、気長に待ってみます
今までありがとうございました
退院後1年後:特養から特養への移動
退院後に入所した特養から特養退所されましたよ!と連絡がありました。近所の特養の順番が回ってきたとのことです
その後、ご挨拶に来てくれた娘さんは…
本当にありがとうございます
父(Aさん夫)は毎日特養まで散歩に行って、特養の2階の食堂に座っているAさんに施設の外から手を振りに行っています
新型コロナで面会が出来なくて心配していましたが、今は気軽に様子が確認できて、こんなに良いことはありません
特養の職員さんも、家族が毎日来ることを知って、あえて窓側の席を用意してくれていました(本当に素敵です)
自宅での介護も楽しくするように工夫され、特養に入所後も家族とのつながりを大切にされ、現状の生活に満足されているようです
Aさんの御家族の考え方・生き方を尊敬しています
施設入所に罪悪感を強く持てれている方もいますが、このような関わりが出来ている方もいます
何が正解で不正解なのか、人によって違いますが色々な方の介護を知ることで、御自身の介護生活について考えるきっかけになると幸いです
特別養護老人ホームなどの施設では、利用料金を軽減する制度があります
対象の人には非常にお得な制度ですが、Aさんの場合は夫の年金が高額であったため対象外でした
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ユーモラスで前向きな娘さんの介護の工夫を紹介いたしました
鏡に向かって怒っている利用者さんの御家族に是非伝えてあげていただきたいです(笑)
コメント