
こんにちは!おハムです
このページでは、現役の看護師ケアマネ目線で老健について説明します
いざというときに使えるサービスを知ることで今後への不安を減らし、人に言われるがまま決めるのではなく御自分や御家族らしい、いい老後を迎えてほしい
そう願っております
某田舎の平均価格の目安 1割負担:月額料金 | 自立 | 要支援 1~2 | 要介護 1~2 | 要介護 3~5 | 認知症 | 看取り | |
介護付き有料老人ホーム (20~30万/月) 入居時:0~580万円 | ▲ | ▲ | ○ | ○ | ○ | ○ | 介護も込 |
住宅型有料老人ホーム (15~19万/月) 入居時:0~100万円 | ○ | ○ | ○ | ○ | ▲ | ○ | 介護は外部に依頼 |
サービス付き高齢者向け住宅 自立型(15万/月) 介護(19~25万/月) 入居時:10万~数百万 | ○ | ○ | ○ | ▲ | ▲ | ○ | 自立:安価、介護は外部 介護:職員が介護 |
グループホーム (18万/月) 入居時:0~30万円 | ☓ | 支援2のみ○ | ○ | ○ | ◎ | ▲ | 認知症 |
ケアハウス 介護型(16~20万円) 入居時:30万前後 入居時:30万前後 | ○ | ○ | ○ | ▲ | ▲ | ▲ | 配膳の自立が条件 |
特別養護老人ホーム(特養) 個室(13万/月) 入居時:なし | ☓ | ☓ | ☓ | ○ | ○ | ○ | 終の棲家 |
介護老人保健施(老健) 個室(22万/月) 多室(15万/月) 入居時:なし | ☓ | ☓ | ○ | ○ | ○ | ○ | リハビリして在宅に戻る |
介護医療院 個室(30万/月) 多室(18万/月) 入居時:なし | ☓ | ☓ | ○ | ○ | ○ | ○ | 医療が必要な長期入所 |
介護療養型医療施設 個室(30万/月) 多室(18万/月) 入居時:なし | ☓ | ☓ | ○ | ○ | ○ | ○ | 医療が必要な長期入所 2024年3月閉鎖 |
介護老人保健施設(老健)ってどんなサービス?
専門スタッフによるリハビリを通じ、入所者が在宅復帰することを目的とする施設です
介護士・看護師による入浴や排泄などの介護サービスに加えて医師のサポートを受けられます
暮らしの準備が整うまでの待機期間を安心して過ごすことができます
「入院はもう必要ないけれど、自宅の暮らしに戻るのはまだ不安」…という方にぴったり!
個人の状態に合わせたリハビリサービスが受けられます
日常生活に必要な基本動作を訓練します
起き上がる・立つ・座る・寝返りをうつなどの機能維持・回復・予防をはかる訓練
【内容】体操、運動、電気刺激、マッサージなど
日常生活の中でも応用的な動作を訓練します
入浴・移動・食事・着替えるなどと社会適応のための能力の心身両面からの回復をサポート
【内容】遊び、料理などの家事、手芸、工芸、運動など
発声や発話などの訓練を訓練します
食事をうまく飲み込むための嚥下の訓練
【内容】その方の状態にあったコミュニケーション訓練、口を開ける、噛む、飲み込むといった練習や指導など
入浴や排泄・食事などの生活に必要な介護全般を担います
特に、床ずれの予防・対応やたん吸引など、日中に限らず深夜にもケアが必要な人でも対応できます
毎日の献立は、私達が決められます
また、利用者の持病や嚥下能力などに合わせた食事を提供します
常勤のため、利用者の状態などをこまめに把握したうえで医学管理を行うことができます
介護老人保健施設(老健)の居室タイプ
ユニット型個室
10人以下の生活単位(ユニット)で、台所・食堂・リビング等の共有スペースを囲むように個室が配置されています
集団介護よりも個別性が重視され、固定したスタッフがケアにあたるため、心身の状況を把握しやすく、入居者に安心を与えます
従来型個室+多床室
多くの施設は個室と4床室が混在しています
従来型の個室と、ひとつの部屋に複数人のベッドやクローゼットなどを配置した多床室が混在している施設です
介護老人保険施設(老健)の対象ってどんな人?
・要介護度1~5で、病状が安定していて入院や治療の必要がない人
医師の常駐や、看護師による日中・夜間24時間体制での管理が行われており、 医療依存度の高い方(胃ろう・じょくそう・酸素療法・酸素吸入)でも安心して入所することができます
老健では医療費が施設負担になるため、内服薬が多い人や、高い医療処置材料を使用する必要のある方は、入所できないケースが多いようです。入所する前に医師へ相談し内服を調整していくことで、解決できることもあります
薬の費用が高い人は介護老人保健施設の負担が大きいから断られることがあるよ
介護老人保険施設(老健)はいくらかかるの?
①施設サービス費、②食費・居住費、③日常生活費がかかります
《例えば…従来型個室 要介護度3 自己負担1割 31日入居した場合の目安》
①施設サービス費:25048円
②食費・居住費:43152円・51708円
③日常生活費:5000円
目安の合計:124908円くらい
①施設サービス費:介護認定と負担割合と居室タイプ、施設の基準によって変わります
※正確には施設のサービスや人員配置などの細かい基準があるなかで決まります
目安としては…
要介護1・従来型多床室・1割負担の場合:24500円くらい
要介護1・ユニット型個室・1割負担の場合:25600円くらい
要介護3・従来型多床室・1割負担の場合:30000円くらい
要介護5・ユニット型個室・1割負担の場合:33250円くらい
②食費・居住費
・食費は3食で日額1,392円(月額41,760円)
・居住費は日額1,668円(月額50,040円)
…という基準額がありますが、その金額を上回る施設もあります
食費・居住費を軽減する制度があります
③日常生活費
その他日常生活費は施設ごとに電話代(通信費)や理美容代、新聞・雑誌など日用品の項目・料金が設定されており、入所者は利用した分だけ実費を負担します
初期費用は無料、月額利用料も民間施設と比較すると安い
老健は公的施設であり、入所一時金は不要です
月額の料金も、介護保険の自己負担分は1~3割になり、食費や居住費といった生活費を加算しても10~15万円ほどで済むことが多いです
有料老人ホームのような民間の事業者が運営する施設より割安です
介護老人保険施設(老健)どんな人がいるの?
・医師(常勤)
・リハビリ職員(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)
・看護師(昼夜ともに在中)
・介護職員
・ケアマネジャー
・栄養士
・社会福祉士
・事務・調理員
サービス利用の流れは?
1.要介護認定の申請:要介護認定申請書に記入のうえ、市区町村の担当窓口に申請します
2.訪問調査し、市区町村から介護サービスを利用する本人(被保険者)へ郵送で通知されます
3.要介護認定が出たら、直接施設に申し込みましょう:施設見学し、申込書を貰いに行き記載・提出
4.介護老人保険施設(老健)の職員と面接、主治医に主治医意見書・診断書を依頼
5.老健の入所の審査判定会
「高価な薬を飲んでいない、伝染病などの疾患がなく、病気での長期入院などを必要としない」場合は入所を断られてしまうこともあります
6.入所
老健を退所したあとどうするか
①自宅で介護する:宿泊サービス・日帰りサービス・訪問サービスを組み合わせてサービスを利用する
②自宅と施設の中間利用:週の半分(2泊3日/週)でショートステイを利用し、残りの日数をでショートステイ・訪問サービスを組み合わせてサービスを利用する
ショートステイは「連続29日以内・保険期間の半分まで」利用ができます
ケアマネジャーに相談し最大限利用できるように相談してみましょう
③老健に再入所は可能であるか相談して、再入所までの期間を、期間限定で在宅での①②を利用しながら乗り切る
④老健以外の施設に入所する
・要介護3~5であれば特別養護老人ホーム(特養)(要介護3以上の認定が期待できそうであったら、介護変更申請して、要介護3を目指す)
・経済的にゆとりがあれば有料老人ホーム
・認知症があればグループホームなど他のサービスを申し込み、入所する
「③老健に再入所」は老健にとってもメリットが大きいため受け入れてもらえることが多いです
「介護老人保険施設(老健)の入退所をくりかえす」とは
「専門スタッフによるリハビリを通じ、入所者が在宅復帰することを目的とする施設」である老健
入所した人を自宅に帰すことで、老健にメリットがあるルールになっています
そのため、入所して3ヶ月程度したら自宅への退所を勧めてこられ、
聞いてない!家で見れないから施設に入れたじゃないか!
と、怒れてきてしまうといった状況をよく見ます。巷でよく聞く「施設に追い出された」でしょう
しかし、この「追い出され」ですが、見方を変えるとメリットもあります
他の施設で、外出や外泊で自宅に帰る際は介護保険を利用することが出来ません
ただ、老健の退所の際には、
・自宅にかえる期間限定の退所している期間限定のケアマネジャーが担当します(老健に入所する前に担当であった人でも、新しい人でも可能)
・老健の職員とケアマネが退所前に自宅に訪問し、自宅の環境を確認し、必要な福祉用具を介護保険でレンタル・購入できます
・退所期間中に、宿泊サービス・日帰りサービス・訪問サービスを組み合わせてサービスを利用できます
御本人が、本当は施設に入りたくなかったけど、介護困難でどうしようもなく老健に入所した場合は、時々自宅に帰って家族と過ごす期間があることを「生きる希望」として暮らされるます
老健であれば、その「時々帰る」際に、安全に安心して、極力家族の負担が少なくなるように介護サービスを利用して過ごすことが出来ます
これは、老健の大きなメリットの1つであるといえます
いい介護老人保険施設(老健)の選び方は?
介護老人保健施設の利用を希望する場合の問合わせ先
介護老人保健施設の利用を希望する場合は、直接施設に問い合わせることもできますが、お住まいの地域の役所や、近隣の地域包括支援センターでも相談に応じています
最寄りの地域包括支援センターは厚生労働省がインターネット上に公開している「介護サービス情報公表システム」から検索することができます
老健と特養の違い
介護老人保健施設 | 特別養護老人ホーム | |
---|---|---|
概要 | 要介護高齢者の在宅復帰を目指す施設 | 要介護高齢者が身体介護や生活支援を受けて居住する施設 |
入所条件 | 要介護1~5 | 要介護3~5 |
サービス | 在宅復帰を目指す医療ケアとリハビリ | 身体介護が中心の自立支援 |
費用 | 入居一時金:なし 月額利用料:7.6~15万円 | 入居一時金:なし 月額利用料:8.8~14万円 |
入所・入居期間 | 原則3ヵ月 | 終身利用 |
入所・入居難易度 | 特養と比べると比較的入所しやすい | 入所待機者が多く数ヵ月以上待つ可能性が高い |
老健と特養は、どちらも介護保険制度のもとで設立された公的な介護施設です
このためどちらも低価格で入れるという共通点があります
人気が以前から高い点も共通項です
長期的な介護サービスを期待できるため、比較すると特養のほうが人気が高くて待機者も多い傾向にあります
まとめ
要介護1~2の方が利用できる、唯一の公的施設になります
ただ、ずっと入居できる施設ではありません
自宅で生活できるようにリハビリをする施設のため、ある程度リハビリをしたら退所を促されます
在宅介護が難しいようであったら、「老健を退所したあとどうするか」を考えていく必要があります
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