
こんにちは!おハムです
独居で身寄りがない人や認知症の方を担当した際に、「後見制度」「身元保証サービス」「家族信託」などのワードが出てくることがあります
制度もよくわからないし、何が必要で何が適切なのかも?????
本日は、みんな苦手な(笑)それらの制度についてまとめてみました
成年後見人制度等は利用したほうがいいの?
認知症高齢者はたくさんいるけど、後見制度を利用していない人が多いよ。家族信託とかもあるし、どのような人が対象になるんだろう???
①現在の判断力
②何を担ってほしいのか(金か人か身元保証か)
③家庭裁判所の手続きの期間を待てるか(後見人は時間がかかる)
の情報を整理することでどの制度が適切であるか検討します
認知症,知的障害,精神障害などの理由で判断能力の不十分な場合、以下のことが難しくなります
《判断能力が低下すると難しくなること》
・不動産や預貯金などの財産を管理
・身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約
・遺産分割の協議
・自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい,悪質商法の被害にあう可能性
娘がやってくれるから大丈夫!
身寄りのない一人暮らしの人には必要だとわかるけど
御家族がいると必要ないのかな???
親が認知症と診断されたとき、事前準備をしておかないと簡単に預金を引き出すことができません。
そのときは、本人に成年後見人を立てることになります。
認知症になる前であれば「任意後見」や「家族信託」という制度もあります
●任意後見契約
本人に判断能力が無くなった際に、家庭裁判所で認められれば任意後見人として財産管理ができます。
●家族信託契約
契約と同時に財産を管理する人を決めることが出来ます。どの財産の管理をまかせるかも決められるので親の抵抗少なくはじめることが出来ます。
どちらの契約も、判断能力が失われる前に時間をかけて準備するものです。契約内容を考えることも難しいので、弁護士や司法書士といった専門家に相談すると良いでしょう。
親が認知症になる前に、将来の金銭管理を任されていた場合も、口約束であったり委任状では効力がありません
たしかに最近は銀行も厳しくなっているとよく聞きます
では、どの人に、どのような制度をお勧めするのがいいのでしょうか?
成年後見制度の種類には、任意後見制度と法定後見制度があります
任意後見人 | 法定後見人 | 家族信託 | |
概要 | 判断能力が低下した時に備え「任意後見人」と契約を結び、財産管理や、身の回りの手続きなど、身上管理を代行してもらう | 判断能力が低下した人を守るために「法定後見人」に財産管理や、身の回りの手続きなど、身上管理を代行してもらう | 子どもや孫など信頼できる家族を「受託者」として、財産の管理・運用・処分を託す |
財産を管理する人 | あらかじめ元気なうちに指名し契約した「任意後見人」 | 裁判所によって選任された「法定後見人」。司法書士や弁護士などの専門家が選ばれることもある。 | 受託者。自身で、信頼できる人を自由に選ぶことができる |
監督機関 | 家庭裁判所によって選任された任意後見監督人と家庭裁判所 任意後見監督人には、司法書士や弁護士などの専門家が選任される | 家庭裁判所(成年後見監督人)司法書士や弁護士などの専門家が成年後見監督人に選任されることもある。 | 特に規定はない。 受託者を監督させる「信託監督人」を契約内で指定することが可能。 |
対策できる時期 | 判断能力の低下が見られてからでも、できる可能性はある | 判断能力が著しく低下してからしかできない | 判断能力が低下していないければいつでも可能 |
開始時期 | 判断能力が著しく低下し、家族などの申し立てにより後見監督人が選任されたとき | 判断能力が著しく低下し、家族などの申立てにより成年後見人が選任されたとき | 信託契約を結んだとき |
不動産の管理・処分 | 家庭裁判所や任意後見監督人の同意なしに、処分が可能 しかし、その処分が合理的でない場合は任意後見監督人から指摘が入る可能性がある | 住んでいる家(住んでいた家)の売却については家庭裁判所の許可が必要 家庭裁判所によって「合理的な理由」が認められれば許可が出る | 不動産を信託財産にしておけば、信託契約内容の範囲内で自由に管理・処分できる |
初期費用 | 自身で手続きする場合:1~3万円程度司法書士へ手続きを依頼する場合:10〜20万円 | 自身で手続きする場合:15,000円程度司法書士に手続きを依頼する場合:10〜20万円程度 | ・専門家への相談料 ・公正証書の作成費用、手数料 ・登録免許税 など 計50〜100万円 |
ランニングコスト | 任意後見人への報酬 親族などの場合:月額0〜5万円 専門家の場合:月額3〜6万円任意後見監督人の報酬 専門家の場合:月額1〜3万円 (任意後見制度では、任意後見監督人の選任が必要なため、任意後見監督人への報酬が発生します) | 法定後見人への報酬 親族の場合:0〜5万円 専門家の場合:2〜6万円 | 原則としてなし ※なお、受託者の報酬を設定することもできる |
任意後見:《しっかりされたおひとり様・おふたり様向け》
《任意後見人を検討したほうがいい人とは?》
独身・配偶者に先立たれた子供がいない方
・両親はすでに亡くなっている
・1人兄弟で親戚との付き合いがない
・結婚歴がなく、子供もいない
・子供がいない夫婦で、配偶者も亡くなっている
子供のいない夫婦
なぜこのような人が《任意後見人》を検討したほうがいいのでしょうか?
《任意後見人を検討したほうがいい理由》
・判断ができなくなってから法定後見人の申立人(申請してくれる人)がいないから
申立人になれるのは、・本人もしくは配偶者・4親等以内の親族・市町村長です
親せきに頼めない場合は市町村長が申立するになりますが、緊急性や予算の関係ですぐに対応してくれるとは限りません。希望してから申立するまでに、半年から1年かかることもあります
申立しても、「後見人を受けてくれるかもしれない兄弟」も高齢になるため、受けてもらえるかわかりません
《おひとり様、おふたり様が安心して過ごすため必要な契約は???》
①「生前事務委任契約」:判断能力はあるが、体が自由に動かせない場合に、本人に代わって、銀行にお金をおろしてきたり、市役所で申請などを行うことができる
②「任意後見契約」:誰も申立人になってくれない可能性があるため
③「死後事務委任契約」:後見制度は亡くなったら効力がなくなる。その際に誰も担ってくれる人がいない場合、「死後事務委任契約」を結んでおけば、その人が、葬儀や納骨などの死後事務を執行することができる。夫婦の場合でも、配偶者の死後に残された人が要介護状態であることも想定されるため事前に準備しておくと安心
④「遺言書」
おひとり様で、相続する人がいない場合は「国庫に帰属」するため、
お世話になった人など渡したい人がいる場合は遺言書をかいておくといいでしょう
子供がいない夫婦でどちらかがなくなった場合、財産の1/4は亡くなった人の兄弟に渡ってしまいます。自宅の相続権も1/4が渡り住まいの確保が難しい場合もあります。子供なしの夫婦の場合は「全額を配偶者に渡す」という旨の遺言書を残しておくほうがいいでしょう
《任意後見制度とは》
判断能力が低下した時に備え「任意後見人」と契約を結び、財産管理や、身の回りの手続きなど、身上管理を代行してもらう制度
《成年後見制度との違い》
・成年後見制度と違い、本人が『誰に』『どのように後見をしてもらうか』決めておくことができるので、いざ任意後見が開始されても自分らしく人生を過ごすことができる可能性が高い
・任意後見人には成年後見人にある取消権や同意権はありません
《家族信託との違い》
・任意後見制度:自分に判断能力が無くなった時、自分のお金をどう使い(財産管理)、どういう生活を送りたいか(身上監護)をトータルで考え決める
・家族信託:自分の判断能力がなくなった後『自分の財産』をどのように管理、保存、処分したいか、誰に承継させたいかということを考えて決める
・家族信託は家庭裁判所の介入が必要ない
《任意後見人ができること》
〇不動産の管理、保存、処分
〇預金通帳や各種権利証などの重要な証書の管理
〇年金などの収入の受取り
〇金融機関との取引
〇ガス代や電気代の支払い
〇遺産分割や相続の承認、放棄、贈与に関する事務
〇病院・施設への支払いや、入院・入所の手続き
〇居所の確保・収益物件の入居者との契約、家賃の受取り
〇要介護認定の申請
法定後見人と内容は似ていますが、任意後見契約は、上記項目からどれを選択するか、どれを外すかを委託者が自分で決められたり、またひとつひとつの項目について詳しい内容を決められる点で法定後見制度と異なります
《任意後見人ができないこと》
・食事や排せつ等の介助等の事実行為
・医療行為への同意
・身元保証人、身元引受人、入院保証人等への就任
・本人の住居を定めること
・婚姻、離婚、養子縁組・離縁、認知等の代理
・遺言
成年後見人と一緒ですね!
また死後の事務に関しても任意後見契約では行うことができないため、死後事務についても任意後見契約と同時に契約する方もいます
家族信託《本人がしっかりされた方で、今後認知症になった際に銀行の凍結が不安な人、遺産相続でもめることが予想される人向け》
権利を「財産」に限定した任意後見制度みたいなものです
《家族信託とは》
本人の判断能力が衰えたときの備えとして有効な制度です
『私(委託者)の財産をあなた(受託者)に託すから、私又は他の誰か(受益者)のために使ってください』という契約を結ぶことです
法定後見制度や任意後見制度は『本人』に焦点をしぼって、基本的には本人の生活や財産全体をサポートする制度です。まさに『人』をフォローします。
家族信託は本人の『財産の一部』に焦点をしぼって、その財産を託された人が、本人のために運用する制度です
家族信託をご説明するうえで、必ず挙げられるのが『委託者』『受託者』『受益者』の三者です
委託者とは・・・家族信託で自身の財産を託す人です。お金や家などを持っているけど、認知症や他の原因で判断力が衰えてしまった時のことを考慮して、お金や家などを他の人に託す人のことです
受託者とは・・・委託者からお金や家を託される人です。家族信託は民事信託とも呼ばれ、基本的には家族以外の人にも信託できますが、大多数の人はご自身のご家族に財産を託されますので、この受託者は委託者のご家族であることが多いです
受益者とは・・・信託した財産から利益を受ける人です。信託したものがお金であれば、そのお金で買ったものは受益者の権利、受益権によって受益者の物になります。信託したお金から毎月の給付をうける権利も、受益権の内容となります。家を信託した場合、「家に住む」ということも利益のひとつですので、受益権の内容として受益者は家に住む権利を得ます
家族信託の画期的なところは、いままで『所有権』というひとつの権利だったものを『受益権』と『管理する権利』に分解して、別々の人が持てることになったところにあります
もともとの財産の持ち主が『受益権』を持ち利益を享受し、判断力が健全で失われるおそれの少ない者が『管理する権利』を持つことで財産が凍結される危険を回避することができるようになりました。
《家族信託を検討したほうがいい人》
・年老いた親・配偶者が心配である人
・認知症対策をしたい人
・子がいない人
・自分の財産の承継者を自分で決定したい人
・親が会社経営をしていたり、個人事業を営んでいる人
・前の配偶者との間に子がいる人
・認知している子がいる人
・相続人同士の仲が悪い人
・不動産や自社株など、分けにくい財産が多い人
・ペットの将来が心配な人
近しい人が認知症になった際に、銀行口座の凍結をおそれて行う人が多いようです
「任意後見」も「家族信託」も本人に判断能力のあるうちしか準備できないため、事前に準備をすることで安心して過ごすことができるようになります
法定後見《すでに判断能力が低下している人で、本人だけでは必要な契約が行えない人、親族による財産管理が心配な人》
《法定後見人の必要な人》
【パターン① 本人だけでは必要な契約や手続きが行えないケース】
・銀行・証券会社での手続きを行いたい
・不動産などの資産を売却したい
・遺産分割協議を行いたい
・介護施設・サービスの契約がしたい
【パターン② 詐欺被害や親族による財産の使い込みなど財産管理が心配なケース】
・詐欺被害に遭わないか心配
・家族などが本人の財産を使い込んでいないか心配
・障がいを持つ子の将来が心配
《法定後見人の役割》
- 生活で発生するお金の財産管理
- 何にいくら使ったのかという資料をキチンと残しておく
- 年に一回裁判所で報告をする
遺産相続等のために申請した場合でも、相続後に解約することはできません
《法定後見人にできないこと》
- 食事や排せつ等の介助等の事実行為
- 医療行為への同意
- 身元保証人、身元引受人、入院保証人等への就任
- 本人の住居を定めること
- 婚姻、離婚、養子縁組・離縁、認知等の代理
- 遺言
このような場合はどうすればいいのでしょうか?
- 家族以外の成人に同意書&立会いをお願いする
- 保証人代行サービスを利用する
- ソーシャルワーカーに間に入ってもらう
- 本人の同意だけでも手術してくれる病院を探す
身元保証サービス《入院・入所等の際に身元保証人がいない人》
どのようにすれば、安心した老後が準備できるのでしょうか?身元保証サービスも非常に高価ですがこれらに契約すれば安心して過ごすことができるのでしょうか?
《身元保証サービスとは》
身元保証とは、ご家族に代わって病院への入院、福祉施設・賃貸住宅への入居の際の身元保証人の引き受けを行うサービスのことを言います。有料老人ホームや高齢者向け住宅などへの入居には、「身元保証人」が必要となることが一般的ですが、身寄りがない、家族はいるが頼めないといった場合にこのようなサービスを利用する方が増えています
身元保証サービスは、成年後見制度のように法律で明確な基準が定められているものではなく、公的な監督体制も存在しません。サービスの内容や料金が適正なものであるかは、自身で判断する必要があります
では身元保証サービスはどのような時に必要なのでしょうか?
《高齢者が身元保証人を必要とするシーン》
①入院時に病院から求められたとき
・入院時に身元保証人
・入院費の支払い保証と緊急連絡先
・本人に支払い能力がなければ身元保証人が保証する
・急変などが発生したら、医療機関は身元保証人に連絡
・本人による意思決定が確認できない状態であれば、治療方針の判断も求められる
身元保証人は被保証人が何らかの損害を発生させても、賠償しなければならない範囲は限定的です
連帯保証人は被保証人が発生させた損害をすべて賠償しなければなりません
②介護施設に入居するとき
・介護施設へ入居する際にも身元保証人になる
・主に緊急連絡先や治療の際の手続き、月額費用の保証
・施設利用時に体調が悪くなった場合、施設は身元保証人に連絡。その後の医療機関とのやり取りや、入院等の手続き
・被保証人が月額費用を滞納した場合、身元保証人が本人の代わりに支払う
③亡くなったとき
・身元保証人が遺体を引き取り
・葬儀の準備やさまざまな事務手続き
・介護施設に入居していた場合、退去手続き、未払い料金があれば精算し、部屋の片付けや遺品の引き取り
後見人は被後見人の死亡と共に終了するため、死後事務を行うことはできません
まとめ
悩んだ時には、
①現在の判断力
②何を担ってほしいのか(金か人か身元保証か)
③家庭裁判所の手続きの期間を待てるか(後見人は時間がかかる)
の情報を整理することで、適切な制度は何か考える材料になります
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