私は、3年目にして初めて“生活保護受給者の方”の担当する事になりました
制度が複雑で混乱してしまったので、まとめてみました!
生活保護制度とは
《生活保護制度の目的》
生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています
生活保護の相談・申請窓口は、現在お住まいの地域を所管する自治体や福祉事務所の生活保護担当です
各々の生活保護者に対して、担当の職員がいます
生活保護者に介護が必要になった場合は、介護扶助?介護保険?
年齢や医療保険の加入状況によって変わってきます
・40歳以上64歳以下の方で生活保護を受けている場合、原則介護保険の被保険者とはなりませんので、介護保険を適用せず、生活保護の税金の補助を受け(介護扶助といいます)サービスを利用することができます
・ 65歳以上で生活保護を受けている方は介護保険が優先して適用されます
生活保護制度における介護保険の適応
年齢や医療保険加入の有無によって申請からサービス提供・請求までの流れが違います
生活保護制度における介護保険の適応 | 40歳~65歳 | 65歳~75歳 | 75歳~ |
①医療保険未加入者 (②以外の人 大多数はこちら) | [みなし2号対象者] 介護扶助10割 ただし 障害支援法優先 | [介護保険代1号被保険者] 介護保険給付9割 介護扶助1割 | [介護保険代1号被保険者] 介護保険給付9割 介護扶助1割 |
②医療保険加入者 (就労して職場に加入している被保険者とその家族で75歳未満の人) | [介護保険2号被保険者] 介護保険給付9割 介護扶助1割 | [介護保険代1号被保険者] 介護保険給付9割 介護扶助1割 | ⇐健康保険に加入できるのは75歳まで。生活保護制度では 75歳以降は医療扶助で医療を受ける |
医療保険未加入の40-65歳未満の場合のみ注意が必要です。その人のことを「みなし2号対象者」と呼びます
食事・居住費は実費での料金が発生しますが、施設入所やショートステイ(泊まりサービス)利用の際には、負担の減免制度の対象になります
65歳以上の被保険者は全員、介護保険の[第一号被保険者]
介護保険制度の第一号被保険者は「市町村の区域内に住所を有する65歳以上のもの」のことであると介護保険法に定められています
生活保護を受給しているかどうかは関係ありません。65歳に達したら、だれもが第一号被保険者になります
介護サービス費の9割が介護保険で賄われているところは皆共通で、違うのは残りの1割分の利用者負担が非保険者の場合は、生活保護の「介護扶助」で賄われているということです
実は…生活保護制度は受給が発生したその日から、国民健康保険の適応が外れる決まりになっています。
つまりこれらの方は、年齢が40~65歳でも「医療保険加入者」という要件には該当しないため、第2号保険者ではなく「みなし2号」に該当します
むずかしい…
みなし2号対象者(65歳未満、医療保険未加入者)
生活保護制度ではこれらの方が、特定疾患にかかって要介護になった場合に、介護保険第2号被保険者と同等のサービスが受けられるように「介護扶助」で介護報酬を全額支払う仕組みになっています
介護報酬の請求・支払いは介護保険のフローで行うので、ほかと区別がつくように、被保険者番号の1文字目がHになっています。そのため現場では「みなし2号者」「H番号利用者」という呼称が用いられたりします
みなし2号は対象者は、「介護扶助よりも、障害者総合支援法による障害福祉サービスのほうを優先する」ということです
障がい福祉サービスを使えない場合や、量や種類のニーズを満たせない場合に限って介護扶助サービスが利用できる決まりになっています
どのような人がみなし第2号被保険者に該当するの?
就労して職場で健康保険に加入している被保険者とその家族で75歳未満の人が該当します
被保険者の中には、就労して職場の健康保険に加入している方もみえます
健康保険は国民保険と違って、生活保護受給=適用除外にはなりません
これらの人は「医療保険加入者」という要件に該当するため、第2号被保険者という区分になります
みなし2号が介護扶助を使う時ってどんな時?
・その地域の障害福祉サービスの社会資源では、必要なサービス料を賄うことが出来ない場合
・障がい福祉サービスでは提供されない種類のサービスを利用する場合(訪問看護など)
・障害福祉サービスを受ける資格がない場合(手帳を保有していないなど)
みなし2号対象者へのサービス提供のあり方は以下の3パターンになります
①障害福祉サービスのみを利用
②介護扶助のみを利用
③両方からサービスを利用
みなし2号の計画書は誰が作成するのか
①~③のどれに当てはまるかによって誰がプランを作成するかが決まります
〈みなし2号のケアプラン作成〉
①障害福祉サービスのみを利用 | ②介護扶助のみを利用 | ③両方からサービスを利用 | |
プランの作成者 | 相談支援員 | ケアマネジャー | 相談支援専門員と ケアマネジャー |
サービス等利用計画書 | 「サービス等計画書」 | 障害福祉サービスも盛り込んだ 「ケアプラン」 | 「サービス等計画書」と 「ケアプラン」 |
《例1》
生活保護を受けて暮らしていた人が、脳出血を発症して、一命はとりとめたもののリハビリが必要になる場合は、身体障害者手帳を取得するまでは②(介護扶助のみ)によるサービスになるためケアマネジャーがケアプランをつくることになります
《例2》
2号保険者として介護サービスを受けていた人が困窮して生活保護を受ける場合も、障害者手帳を持っていなければ同様に②(介護扶助のみ)のパターンになります
これらのようなばあいは、福祉事務所のケースワーカーとケアマネジャーが連携して、障害者手帳の取得手続きを取り、取得ができしだい、障害福祉サービスに移行していく段取りが必要になります
生活保護受給者を担当することになったら…
①市の生活保護担当者に挨拶にいく
その際に、生活保護の負担金額や介護扶助の割合などを確認しておく
②ケアプランが完成したら、ケアプランを市の担当者に渡す
③そして、毎月の利用票・実績入力済の利用票も渡しにいく。その際に適時状況の報告を行う
なんとなく知っているけど、複雑でちょっと苦手な社会保険制度ですが
少し頭に入れておくことで、いざという時に動きやすいと思います
市の「生活保護」担当者は御本人の事をよくご存知で長い付き合いの方が多いので、頼りになる存在です
うまく相談・連携を取りながら支援をしていくといいでしょう
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