
こんにちは!おハムです
地震・津波だけでなく、大型台風や大豪雨などの気象異常により被災する地域は多くあります
被災経験がある人はその経験を活かすことができますが、そうではない人は不安が強くどう対応するべきなのか不安になると思います
2021年度介護報酬改定で居宅事業所にも“感染症や災害への対応力強化”が求められています
災害に役に立てるケアマネジャーになるためにはどのような心構えが必要なのでしょうか?
災害時の判断や動き方、準備できること:自分自身
自分自身についての困りごと
①自身の身の危険
いつ被災するのか分からないため自身の身の危険があります
何より自分自身の命を守ることが大切!!!
対策:ハザードマップなどで危険な場所を予め把握しておく
避難場所と避難経路を知っておく
職員間の連絡方法と参集場所を決めておく
②家族が先か、仕事が先か
家族や地域の一員として行うべき安否確認や安全の確保などと、ケアマネ業としての災害対応がバッティングします
今、自分が置かれている状況を冷静に把握し、第一に行う行動を判断する
対策:災害発生時に家族との連絡方法や参集場所を話し合っておく
職場内で、災害時の公私の考えについて共有しておく
③事務所の被災
ケアマネジャーにとって必要不可欠な情報の消失の危険性があります
事業所が被災した場合の対策をマニュアルなどであらかじめ取り決めておくこと
対策:利用者情報などのデータは、クラウドで管理し災害後も引き出せるようにする
④組織人としての立場
サービス併用の居宅介護事業所では法人の業務命令により本来の仕事が後回しにされる恐れがあります
自分が担当する利用者の支援の必要性を組織の長に繰り返し伝える
対策:災害発生時には法人業務優先の自体が発生することを予測し、優先して行わなければならないケアマネ業務をリスト化のうえ、組織全体で共有していく
災害時の判断や動き方、準備できること:利用者の救助
利用者の救助
東日本大震災では半数以上のケアマネジャーが利用者に対する緊急対応を行ったそうです
救出や安全な場所への避難誘導介助です
ひとり暮らし、老老介護など利用者の生活を熟知しているケアマネジャーだからこそできる支援があります
①連絡先の遮断
利用者は「災害弱者」です。自宅の立地によっては危険が迫る人もいるでしょう
危機予知ができ、連絡が取れない場合には自らが救助に向かうことを考える
対策:災害時に救出の必要度の高い利用者をリストアップしておく
家族・民生委員・サービス担当者など、救出担当を事前に決めておく
②アプローチルートの遮断
災害によっては道路が遮断されるなど、現地にたどり着けない場合があります
1人で救出しようと焦らず、地域包括・警察・消防・行政と一緒に救出を図る
対策:災害が利用者の生命に及ぼす恐れのある危機を、個別に具体的に整理しておく
非常時、行政は超多忙になる。平常時の顔の見える関係づくりが役立つ
③自身の安全との比較:災害規模の深刻度、利用者の居場所によっては、自身の命と天秤にかけるという苦渋の選択が必要になる場合があります
災害時に行った選択は、いずれの選択をしても後悔が残ることが多い。災害後早い段階で「後悔を語り合う場」をつくる
対策:大震災から10年の節目には当時を振り返る報道や出版が増える
それらを材料に、起こりうる「選択」をはなしあう
④避難場所の選択:混乱した状態では受け入れが難しい場合がある
施設が緊急受け入れを渋る理由として報酬面の問題がある。ケアマネ協会などを通じて、行政に緊急受け入れの枠を拡大保証をしてもらう
対策:実際に機能しない福祉避難所があった。
平常時に地域ケア会議などで、福祉避難所の実行的な開設について煮詰めていく
災害時の判断や動き方、準備できること:利用者の安否確認
利用者の安否確認
・自宅や避難所で不安におびえながら孤立を深める利用者や家族
・追い出されそうになる認知症の人
・介護サービスが途切れて身体機能の低下が目立つ人
・緊急入院が必要であったり、家族が帰ってこない人もいます
大震災の際に自分で訪問して安否確認をしたケアマネが多いのは電話がつながらなかったことが理由であることが多いのですが、利用者のおかれている状況を実際に見て確認する必要性を強く感じたからとった行動でもあったようです
①確認方法に制限がある
自身の安全を確保したうえで、なんとか利用者のもとへ出向く、地域包括やサービス事業所などと進歩状況を共有し「一人も漏らさず」をめざす
対策:地域包括やサービス事業所などと、安否確認の分担を協議しておく
②優先順位の選択
どの利用者を優先するかは、本人・家族・サービス担当者との連絡が取れないこともあり判断が難しい。大震災の際には、ベテランのケアマネジャーほど医療依存度の高い利用者を優先し、経験の浅い利用者ほど、ひとり暮らしや老夫婦利用者を優先しているという結果が出ている
優先順位が高い人には、誰かが必ず駆けつけるようにする
対策:安否確認の優先順位について、事業所内で話し合い共有しておく
事業所の立地などを勘案してサービス事業所と安否確認の分担を協議しておく
③開始時期の決定
災害の規模が大きければ大きいほど「行きたくても行けない」という阻害要因が増大します
誰かの指示を待つのではなく、自分で「今何が必要なのか」を考え行動する。必要に応じ上司の了承を得る
対策:ケアマネの職業倫理に基づき、自分で考え行動するトレーニングを重ねるとともに、それを是とする組織文化を作る
④安否確認後の対応
安否確認により緊急入院・入所・介護サービスの利用の必要性があっても、その責任が容易に果たせないことがあります
緊急支援お必要性がアセスメントできたら自身を持って即座に実施する
緊急入所・入院・サービスを断られても粘り強く交渉する
対策:緊急時の受け入れに無理が効くように平時からの関係性を構築する
災害時の判断や動き方、準備できること:ライフライン
ライフラインの停止
①ケアマネ業務への支障
移動手段・通信手段・情報システムなどのライフラインが停止することでケアマネ業務にも大きな支障があります
通信環境(SNS/ICT含む)徒歩・自転車など可能な手段で利用者・家族、サービス事業者と連絡を取る
対策:災害に強い連絡手段を確保する
他県のケアマネなどと、災害時には相互に助け合う関係を作っておく
②サービス供給への影響
通所や宿泊サービスなどは、停電や断水でサービスの供給が不可能になる場合があります
災害時はどの事業所も厳しい。少しでも余力のあるところを見つけ緊急サービスをお願いするしかないこともある
対策:無理を聞いてもらえる関係をつくる
災害時にサービス事業者と情報交換をする仕組みを作っておく
③ライフラインの幅
要介護者にとっては、電気・ガス・水道・通信のみではなく、薬や介護用品などもライフラインになります。その確保が困難になります
安否確認の際に、利用者ごとに常備薬や介護常備品の不足はないかを確認する。不足があれば入手・手配する
対策:持病薬・介護職・とろみ剤・おむつなどの必要な利用者には7日分備えてもらう。常備薬などリストを個別に作る
④健康への著しい影響
医療機器には緊急時安全装置が一応準備されていますがその扱いにも慣れていない人もいます
通院手段の確保も課題になります
医療器具は医療機関が訪看・医療機器業者と連携して対応する
福祉用具は貸与業者と連携して対応
通院手段は地域包括と協議して確保
対策:災害時の対策について専門機関が本人・家族に定期的に説明する
災害時の判断や動き方、準備できること:避難所・地域での活動
避難所での生活
①調達ニーズの増大
水や食料を含め生活必需品が欠乏します。要介護者や高齢者世帯など「災害弱者」であるほどに物資の調達ニーズが増大します
日数の経過とともに必要な物資は変化する。安否確認やサービス事業所との連絡網を駆使して調達ニーズに対応する
対策:的確にニーズを取得する仕組みをつくる
行政などと組織的な備蓄を実現し非常時に備える予備訓練を行う
②介護ニーズの増大
厳しい環境の中、家族の介護力低下、介護サービスの不足で介護ニーズが増大。ケアマネにも移動介助などの介護力が求められます
対策:被災地は何もかもが不足する。困ったら被害の小さい地域にSOSを発信し、応援を呼べる関係性を専門職間で築いていく
③相談ニーズの増大
行政手続き・家族関係・就労・経済問題など、災害後には相談のニーズが高まります。適切な相談機関につなぐ業務が増大します
ワンストップ体制で相談を受け多職種が連携しながら相談ニーズに対応する
対策:生活面のあらゆる相談に対応できるような多職種連携型の相談体制を作っておく
④法人業務との葛藤
緊急入所などの受け入れの長期化により、災害発生直後だけでなく法人業務とケアマネ業務との兼ね合いがあります
自分以外の職務に対して応援を積極的に受け入れる。またそのように組織に働きかける
対策:多職種・異業種で交流を行い、災害時にも強い関係性をつくる
相談援助の価値を組織内に浸透させる
災害時に役立つ8つの心構え
①「普段力」が物を言う
・利用者のアセスメントをきっちり行っていたか、いざというときのネットワークを築いてきたかなど、災害時に役に立つのは「普段力」といえます
停電になるとどの利用者にどのような危機が訪れるのか、家族が助けに行けないのは誰か、介護サービスが途絶えることで健康状態が悪化しそうなのは誰か、薬がなくなることで重篤なリスクが予想されるのは誰かなどの、普段からのアセスメントが必要
行政・医療機関や、ケアマネ同士やサービス事業者とのネットワークは「仲間」として大きな威力を発揮してくれます
「普段できていることは非常時でも出来る。普段できていないことは非常時にはもっとできません」
②非常時に通常の考えを持ち込まない
普段力が大切とはいえ、災害が発生したら「非常モード」への切り替えが必要になります。非常時に優先することは「命を助けること」「健康を守ること」通常の手続きにこだわっている場合ではありません
③応援を受け入れる備え
所属法人の業務に追われ、担当利用者の安否確認に行けなかったケアマネジャーは少なくありませんでした。たとえば介護施設において、介護を外部に委託できれば、ケアマネジャーは応援に行くことができます。災害が繰り返される中で、応援を供給する仕組みは整えられつつあります。一方で、応援を受け入れる仕組みは整備されているとは言えません。早急に応援を受け入れる体制を構築する必要があります
④自分で判断する
今何が起きているのか、どのような危機が迫っているのか、最優先することは何なのかを考え自分で判断することが大切です。緊急時に的確な指示が出るとは限りません。ケアマネジャーとして「自分で判断すること」を習慣化する必要があるでしょう
⑤課題分析し解決させる
担当利用者だけでなく、避難所にいる高齢者に対して課題分析力を発揮する場面が訪れます。心身の状態の把握、介護力の見極め、本人の意向や家族の意向の確認など初対面・短時間でアセスメントし、その後の支援の方向性を決定する事になるでしょう
緊急入院や入所、福祉避難所への移動、緊急サービスの導入、他の相談機関への紹介など、高齢者の命と暮らしを守るために課題分析力を発揮していきましょう
⑥聴く力を活用
もちろん普通の人も聞くことはできます。面接のエキスパートであるケアマネジャーが聞くことで癒やしの効果も期待できます。聴く力はケアマネジャーの特筆すべき専門性の一つです
⑦ICTなどの備え
地域のケアマネジャー協会を通じて、ぜひICT活用の当事者として参加してほしいといわれています。いざという時に活用できるツールと言えます
うちの事業所は、タブレットを導入しました
⑧自分の命を守る覚悟
利用者の救出に行き、帰らぬ人になったケアマネジャーがいました。目の前にいる利用者に手を伸ばさなければ命を救えない環境下で究極の選択を迫られることもあるでしょう
自然の脅威の前には、人の力は非力であり、大災害は多くの悲劇を生みます
自分の命を守るという行為は当たり前のようでいて苦渋の選択のなかでくだされることがあります。大災害を経験したケアマネははっきりいいます。「自分の命を守る覚悟を持ってください」と。
いかがだったでしょうか?
東日本大震災から10年。南海トラフ自身が30年以内に起こる確率は80%と言われています。地震が起こる起こる詐欺状態で気持ちが緩んでいませんか?
この節目の機会に一度振り返ってみてはいかがでしょうか?
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